先週、クスリの飲み忘れを防ぐ機能を搭載したアプリ「お薬手帳プラス」について紹介しました。
このアプリは、アラームを使って受診のし忘れやクスリの飲み忘れを防ぐ機能がついています。
このようなチェック機能は、受診や服薬を忘れないためにはもちろんですが、毎日の生活のなかでも役に立ちます。
私たちは、毎日、ほとんど意識しないまま考えたり行動したりしていて、そのために失敗することがよくあるからです。
ほとんど無意識に考えたり行動したりすること自体は、もちろん悪いことではありません。
必要なことでもあります。
考えや行動をひとつひとつチェックしていたのでは、いくら時間があっても足りません。
瞬間的に判断して、瞬間的に行動しているからこそ、私たちはスムーズに生活できているのです。
しかし、重要なことをするときには、その瞬間的な判断をチェックする目が必要になります。
『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』(晋遊舎)という本を読みました。
医療や航空関係の現場で起きた大きなミスを題材にしながら、それを防ぐためのチェックリストの効用を紹介している本です。
必要な手順をチェックリスト化して、ひとつひとつ確認することでミスを防ぐことを勧めています。
そのように確認するのは当たり前ではないかと思う人がいるかもしれませんが、それがきちんとできていないためにミスが起こることも、また当たり前のように起きています。
医療や航空機といった生死に関わるような判断ミスではなくても、「ヒヤリハット」と呼ばれるドキッとするような体験をすることはマレではありません。
だからといっていつも自分で気をつけようとすると大変なエネルギーがいりますから、冒頭に紹介したような受診日時や服薬時間を教えるアプリが意味を持つのです。
これはまさに認知行動療法の基本的な考え方でもあります。
認知行動療法では、何か変調を感じた時に、私たちが瞬間的に行っている判断や行動を、ちょっと立ち止まって振り返ります。
これもまた、問題が大きくなる前に、こころのチェックリストを確認する作業なのです。