NHKの番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』で、摂食えん下性障害の介護に取り組んでいる看護師・小山珠美さんの活動が取り上げられていました。
摂食えん下性障害というのは、高齢者に多いのですが、脳卒中や肺炎などをきっかけに起きてくる、食事をうまく飲み込めなくなった状態です。
主治医が回復を諦めた患者さんを自分の力で食べられる状態にまで持っていく小山さんの工夫には驚きました。
専門家だからこのような工夫をするのは当然と言うこともできますが、専門家であっても、そう簡単にできるものではありません。
それに、主治医が専門的に考えて回復が難しいと判断した患者さんです。
他の医療スタッフも、そして小山さん自身も、同じように回復が難しいと考えています。
そのなかで、飲み込んでいる状態を映し出したレントゲン写真に目をやりながら、問題点を探し出します。
それだけではありません。
飲み込む力のうち、どの機能が残っているかも同時に探していきます。
これは、認知行動療法的にみても大事な考え方です。
私たちは、問題があると、その問題にばかり目を向けてしまいがちです。
問題を解決しなくてはならないので当然なのですが、その問題を解決するためには、残っている力に頼らなくてはなりません。
それにしても、真のプロフェッショナルの力は大したものです。
実を言うと、私の母親は重度の認知症で施設に入っています。
一時は食事が進まなくなって、命を心配する時期がありました。
しかし、施設のスタッフの工夫のおかげで食事ができるようになり、体の方は元気で過ごせるようになっています。
おそらく、自分の家で世話をしていたのでは、もっと早くに衰弱して命を落とすことになったのではないかと思います。
やはり餅は餅屋、介護を専門にしている人に助けてもらうことの大切さを感じました。
小山さんがテレビを通して教えてくれた簡単に諦めない姿勢と、問題だけでなく残っている力にも目を向けるという姿勢。
これは、ものを飲み込むという嚥下(えんげ)の問題に対してだけでなく、私たちの毎日の問題に対するときにも、同じように大切です。
[ご案内]
小山珠美さんが登場する『プロフェッショナル 仕事の流儀』が、5月31日(火)午後3時10分~NHK総合で再放送されます。