東京でも、朝夕は寒さを感じるようになってきました。
そうしたなか、東急都庁周辺に行くと、段ボールで生活をしているホームレスの人たちが目に入ってきます。
以前に比べるとその数が増えてきているように思いますが、寒さが増していくなか、その人たちのことが気になります。
いろいろな事情のために一人で生活をせざるをえなくなったのでしょう。
やむをえずそのような生活を送らざるを得なくなった人が大半だと思います。
ただ、自分でそうした生活を選ぶ人もいるのだということを、先日サンディエゴで知りました。
私が留学時代に世話になった精神科医アレン・フランセス先生のもとを訪れたのですが、そのときにヨーロッパから移住してきたホームレスの精神科医を紹介されました。
ここでは、彼のことを一応、ホームレス精神科医と呼ぶことにしますが、移住してきたいまは、精神科医はしていません。
ヨーロッパからの難民と認定されて永住権を手にしていますが、米国内での医師免許を持っていないからです。
それでも彼は、自由に生きることができる今の生活に満足していると言います。
もちろん寝泊まりは路上でしていますが、好きなときに寝て好きなときに起きることができます。
日中は、公共の図書館で時間を過ごすことが多いと言います。
図書館は彼にとって、知的好奇心を満たすことができる重要な場所です。
好きなだけ本を読むことができます。
映画も好きなだけ観ることができます。
1日に3本も4本も映画を観ることがあるそうです。
最近観た映画のことを熱心に話してくれました。
彼と話しながら、私は、人の生き方にはいろいろとあるんだということをあらためて感じました。
そのように、自分が興味を持っている世界で生きられているホームレス精神科医のことが、ちょっとうらやましくも感じました。
そして、必要なときに少しだけ必要な手助けをするフランセス先生のような人が世の中にいることを知って、少しホッとした気持ちにもなりました。