先週はアメリカ大統領選挙の結果をもとに、予測の困難さについて考えました。
今回は同じくアメリカ大統領選挙の結果から見えてくる不安への対処法について考えてみたいと思います。
ドナルド・トランプ氏が勝利したことで、メディアも経済市場も大混乱している印象を受けます。
いろいろなメディアの報道を読んだり聞いたりしていると、悲観的な予測が並んでいて、これから先何が起こるかわからない不安を感じます。
米国人の私の友人は、髪をかきむしって髪の毛が抜けてしまいそうだというメールを送ってきました。
その一方で、そんなに悲観することはないと言う人もいます。
そうした人たちは、トランプ氏が大統領になることで、むしろ大胆な政策転換が起きて、これまでとは違った良い方向に進むのだと言います。
どちらが正しいのでしょうか。
私のように、経済や政治にうとい人間には、それぞれの話がもっともらしく聞こえて、戸惑ってしまいます。
そのようにわからないこと自体が、さらに不安をかき立てます。
でも、専門家だって意見が割れているのです。
現地に住む米国人も何が起きているかわからないのです。
遠く日本に住んでいる素人の私にわからないのは、当然と言えば当然です。
わからないことをあれこれ想像して考えても、良い知恵は浮かんできません。
そうだとすると、まずわからないという現実を受け入れるしかないでしょう。
わからない先のことを予測するよりも、自分にとって何が大事かを考えて、いま自分にできることや、自分がしなくてはならないことに力を注ぐのが一番です。
私たちは、よくわからないことがあると、心配になってあれこれ考えます。
しかも、心配になると、良くない方に目が引きつけられやすくなります。
自分を守るために、良くないことに早く対応しなくてはならないと考えるからです。
以前に紹介した、ネガティビティバイアスです。
そうすればますます不安が強くなって、悪循環が始まります。
そうしたときに、少し立ち止まって空想の政界から離れて現実世界に目を向け、自分ができることに集中できるようにすると不安は和らいできます。