先月末に『保健、医療、福祉、教育にいかす 簡易型認知行動療法実践マニュアル』を上梓しました。
この本を自費制作したと知って驚いてその理由を尋ねる人が何人もいました。
認知行動療法の本を作ってくれる出版社はいくらでもあるだろうと言うのです。
たしかにそうかもしれませんが、今回私は、わがままな本作りをしたかったのです。
それも自分勝手なわがままではなく、きちんとした認知行動療法の考え方を多くの人に伝えるためのわがままです。
できるだけ多くの人に手にとっていただけるように本の値段を抑え、本の中で書き切れない内容や動画で伝えた方が良い内容、研修などで使ってもらえるパワーポイント資料などを専用サイトにアップして自由に使ってもらえるような工夫をしたいと思いました。
気が済むまでゲラに手を入れて、内容を推敲したいと考えました。
その結果、そうした私の強い思いに賛同した産業精神医学の第一人者の田中克俊先生から、健康睡眠に関する原稿をいただくことができました。
多くの専門家仲間が、サイト用にこころの健康や運動指導の資料を提供してくれました。
親交のある出版社のきずな出版には、本の編集・作成、サイト構築、営業を手伝っていただけることになりました。
予定より遅れましたが、こうして初めての自費制作の本を世に送り出すことができたのです。
このように多くの人に助けてもらえる自分は幸せ者だとつくづく思うのですが、それも自分の強い思いがあってのことだとも考えます。
このコラムの中で何度か書きましたが、私は高校時代、成績が悪くて落第しました。
大学入試も失敗続きで、結局3年経って、ようやく大学に入学することができました。
30代半ばで米国に留学したときも、英語が下手だったこともあって苦労が続きました。
それでもあきらめないでもがいていると、誰かが出てきて手を差し伸べてくれました。
差しのばされた手をつかんで体を引き上げるのは自分の責任ですが、手を差し伸べてもらえるのも自分があきらめなかったからだと、今では自分をほめることができています。
さて、今回自費制作した本ですが、配本当初はアマゾンの在庫がすぐに切れてしまって購買希望の方々に迷惑をかけることになりました。
すぐに増刷したことで今は安定して配本できるようになっていますが、それだけ多くの方に関心を持っていただけたことにありがたい気持ちで一杯です。