今回は、体の健康とこころの健康の関係について書くことにします。
2週前の本欄で「自分で実現する予言」について書きました。
そのときにも説明しましたが、物事がうまくいかないのではないかと考えていると、実際にうまくいかなくなることが多くなります。
悲観的な考えが強くなると、緊張して腰が引けます。
そうすると、本来持っている力を発揮できず、失敗に終わってしまいやすくなります。
だからといって緊張するのが悪いわけではありません。
新しいことに直面したとき、とくに失敗する可能性があることに挑戦するときに、緊張したり不安になったりするのはごく自然なこころの反応です。
そうした感情を感じられるからこそ、私たちは丁寧に準備をしたり、無理な挑戦を避けたりして、自分を守ることができています。
しかし、その一方で、そうしたネガティブな感情が強くなりすぎると、守りの気持ちが強くなりすぎて身動きがとれなくなってきます。
それどころか、自分にとって良くない行動を取るようになったりすることさえあります。
そうしたことが起こりやすいのが、の病気にかかったときです。
心臓に問題があると言われた人の行動パターンについて考えてみましょう。
いまはもう亡くなりましたが、私の父親は心筋梗塞になって病院に救急搬送されました。
幸い一命は取り留めたのですが、心臓の血管が一部ふさがってしまいました。
そのことを聞いた父親は、家に閉じこもりがちになりました。
少しでも外に出ると、息苦しく感じるようになって、すぐに家に戻ってくるのです。
心臓に問題が起きていないかどうか心配で、ちょっとした体の変調に敏感に反応するようになっていたからです。
家にばかりいると楽しいこともなく、気分がふさぎ込んできます。
そうするとますます活動できなくなってきて、体力が落ちてきます。
こころと体の悪循環が起きてきたのです。
このように、心臓疾患に限ったことではないのですが、どのような体の病気でも、こころの健康の影響を受けます。
上手に気分転換をしたり考えを整理したりしてこころが元気になってくると、体も元気になってくるのです。
医師など専門家の意見を聞きながら悪循環から抜け出すことが、こころの健康にも体の健康にも役に立ちます。
私の父親も、当時、医師の指導を受けながら思い切って少しずつ外出するようになって気分が晴れてきて、体調も良くなっていきました。