私が自費制作した『簡易型認知行動療法実践マニュアル』は、保健や医療、福祉、教育などの様々な分野の専門家の方たちに認知行動療法を活用していただきたいと考えて作りました。
そのなかの「食事・運動教育に活用する」と題した章では、認知行動療法を食事や運動に活用するコツについて書きました。
それは、適切な食事を取ったり運動をしたりするためには、安定したこころの状態を保つことが大切だからです。
食事について言えば、「すぐに始めること」と「失敗を受け入れること」が大切です。
「すぐに始める」というのは、先送りしないしないということです。
居酒屋の看板のなかに「ダイエットは明日から」と書かれているのを見たことがあるかもしれません。
私たちは一般的に、「こうした食事をした方が良い」とわかっていてもすぐに始めないで、「次から、そうしよう」と先延ばしすることがよくあります。
「こんな食事は良くない」とわかっていても、「次回から、気をつければいいか」と、こころの中で言いわけをして良くない食事をとることがよくあります。
このような考えを「先延ばし思考」とか「言いわけ思考」とか呼んだりしますが、だからといって、明日になったら行動が変わるかというと、それはあまり期待できません。
次の機会にも、だいたいは同じように考えて先延ばしします。
そうならないために、良いとわかったらすぐに始めるようにしましょう。
もちろん、うまくできるとは限りません。
仕事で出席したパーティや親族の集まりなどでは、断り切れずに、つい食べ過ぎてしまうこともあります。
そうしたときには、その「失敗」にこだわらないようにすることも大事です。
真面目な人ほど、「せっかく決めたことを守れなかった」と考え、「もう、どうしようもない」とあきらめて、食生活がますます乱れてしまったりします。
「きちんと計画を守れない自分はダメな人間だ」と自分を責めるようになることもあるでしょう。
しかし、私たちは何でも完璧にできるスーパーマンではありません。
失敗したとわかったときには、その事実を受け入れて、もう一度その課題に取り組めば良いのです。
今回は、食事をテーマに「すぐに始めること」と「失敗を受け入れること」
の大切さについて書きましたが、こうした心構えは食事に限らず、課題に取り組むときに大事な考え方です。
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◆大野裕先生講演会情報
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【1】
平成29年度メンタルヘルス講演会
「うつ病に効く処方箋~うつ病の正しい知識と対処法~」
日時:2017年9月22日(金) 14:00開演
会場:ウェスタ川越 多目的ホール 全面
●詳細や申込み方法については、下記URLリンク先をご覧ください。
http://www.westa-kawagoe.jp/event/detail.html?id=822
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【2】
第51回日本作業療法学会
市民公開講座「日々の生活にいかす簡易型認知行動療法」
日時:2017年9月24日(日)10:40~12:10
会場:メイン会場(ホールC)
●詳細や申込み方法については、下記URLリンク先をご覧ください。
http://web.apollon.nta.co.jp/ot51/program.html