こころトーク

2017.09.15

第103回 「『簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)』とは?」

先日、【ここトレ】を作りたいと考えることになった背景とサイトの内容、認知行動療法の基本的なスキル、そしてサイトを活用した研究成果について解説した文章をアップして、トップページからアクセスできるようにしました。

こうした解説をアップしたのは、サイトを作ってから時間が経つうちにコンテンツが増え、全体像を理解しにくくなったためです。

今回は、一押しのコンテンツのひとつを紹介しましょう。

それは、「簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)」と呼ばれる、うつ度を自分でチェックできる質問票です。

「簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)」は、自分で16項目の質問に答えることでうつ病の重症度を評価できるようになっていて、アメリカ精神医学会が作成したDSM-5と呼ばれる診断分類のうつ病の基準に基づいて作成されています。

世界的に知られた精神科医John Rush先生が開発して、世界10カ国以上で使用され、日本語版は、藤澤大介先生を中心とした慶応大学医学部のグループによって作成されました。

それだけ信頼できる質問票で、6点以上はうつ病の可能性があるので、早めに医療機関を受診するように、本サイトでは勧めています。

また、医療機関を受診している人は、この質問票を使って定期的に自分の状態をチェックすることができます。

さて、このように使い勝手の良い質問票ですが、質問項目に少しわかりにくいところがあります。

たとえば、睡眠については不眠と過眠、食欲については、食欲低下と食べ過ぎの相反する質問がそれぞれあるからです。

これは、うつ病の症状として不眠が出ることも過眠が出ることもあり、食欲も極端に落ちる場合も、逆に食べ過ぎになる場合もあるからです。

ですから、それぞれの項目で問題があるかないかをそれぞれに判断して答えてもらって、全体の答えを相対的に判断するようになっています。

ちなみに、このサイトでは、回答を自動的に計算するようになっていますし、日を置いて継続的に回答することで変化を見ていくことができるようにもなっています。

さて、この「簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)」を含めて、本サイトはいろいろなコンテンツが含まれていますので、ぜひ多くの方々に活用していただきたいと考えています。

◎「ここトレ」簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J)
https://www.cbtjp.net/qidsj/

◎「ここトレ」の背景、内容、活用法
http://www.cbtjp.net/pdf/explanationofkokoronoskillup.pdf

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◆大野裕先生講演会情報
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【1】
平成29年度メンタルヘルス講演会
「うつ病に効く処方箋~うつ病の正しい知識と対処法~」
日時:2017年9月22日(金) 14:00開演
会場:ウェスタ川越 多目的ホール 全面
●詳細や申込み方法については、下記URLリンク先をご覧ください。
http://www.westa-kawagoe.jp/event/detail.html?id=822

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【2】
第51回日本作業療法学会
市民公開講座「日々の生活にいかす簡易型認知行動療法」
日時:2017年9月24日(日)10:40~12:10
会場:メイン会場(ホールC)
●詳細や申込み方法については、下記URLリンク先をご覧ください。
http://web.apollon.nta.co.jp/ot51/program.html
 

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