先週は、笑いが人間関係をよくするし、こころを元気にもするということを書きました。
笑いを上手に使うことができれば、適度な緊張を保ちながら自分のパフォーマンスを上げることもできます。
これほど私たちの生活のなかで重要な役割を果たすだけに、笑いから、人間関係を判断することもできます。
話をしているときに、お互いに笑顔が出るようになると、その関係が良いものになってきていると考えることができます。
そのことをあらためて考えたのは、先日、精神科医の集まりで認知行動療法について話をしたときに質問が出たからです。
その質問というのは、外来診療などで患者さんに信頼してもらえているかどうかを判断するヒントのようなものはないかという内容でした。
そのような質問が出たのは、患者さんが医師を信頼しているほど治療の効果が高くなることがわかっているからです。
認知行動療法はもちろんですが、薬も医師への信頼感でその効果が変わってきます。
人間関係の力というのは不思議なものです。
さて、私は、その質問に対してまず、言語的コミュニケーション、つまり言葉を通した交流のポイントは、お互いに「なるほど」とお互いに言える関係だと答えました。
お互いに信頼感が高くなると、「なるほど」とか「たしかに」とか言うことが増えてきます。
一方で、「でも」とか「しかし」という相手を否定する言葉が出てきているときには要注意です。
続けて私は、こうした言葉を通した交流の他に、態度や雰囲気など、言葉にならない非言語的コミュニケーションが言葉以上に大事で、なかでもお互いに笑顔に出るようになっているかどうかが判断のポイントになると答えました。
笑顔が出てくるのは、それだけ緊張がとけてきているからです。
相手のことを信頼できているからこそ、笑顔が出てくるのです。
これは、認知行動療法や外来診療だけのことではありません。
日々の人間関係で、一時的にギクシャクすることがあっても、お互いに信頼できるようになると、笑顔で「なるほど」と言いあえるようになります。
そうすると、いろいろな問題を解決していけるようにもなってきます。