前回は、突然の出来事に出会ったとき、私たちはとっさに良くない結果を考える傾向があると書きました。
そうしたときには、良くない結果と同時に、様々な考えが次々と頭に浮かんできます。
「どうしてこんなことが起きたんだろう」
「どうして自分がこんな目にあわないといけないんだろう」
「どうすることもできないかもしれない」
このように考えると、先に進めなくなり、クヨクヨ考え込んでしまいます。
こうしたときの考えにはいくつかの特徴があります。
とくに注意しないといけないのは、過去のことを振り返ったり将来のことを考えたりして、いまに目が向かなくなっているときです。
問題に気づいたときに、過去を振り返って問題点を洗い出し、原因を見つけて解決策を考えることは役に立ちます。
ただ、それは原因がわかるときです。
日常生活では、原因がわからないことがほとんどです。
食事中に肘がコップに当たって倒してしまった場面を想像してください。
「どうして肘を当ててしまったんだろう」と考えても、その理由が分からないことがほとんどです。
ボンヤリしていたからかもしれません。
でも、なぜボンヤリしていたかは分かりません。
あることを考えていたから?
じゃあなぜそんなことを考えていたのでしょうか。
結局は原因をはっきりさせられないまま、堂々巡りの考えが続くことになります。
しかも、原因がわかったからといって、原因となった問題を解決できるとは限りません。
たとえば、親しい人から厳しいことを言われたことが原因で、あれこれ考えにふけっていたのかもしれません。
しかし、親しい人からそのようなことを言われたのは事実ですから変えようがありません。
そのように考えると、どうしようもないと考えるしかなくなります。
しかし、その時必要なのは、まず水を拭くことです。
そして、気になっている人との関係をどうすれば良いか、手立てを考えることです。
過去を考えて原因探しをするのではなく、いまに目を向けて、いまできること、いましなくてはならないこと、いました方が良いことを考えることが大事になります。