こころトーク

2018.08.31

第153回 「「エクスポージャー(暴露)」が役立つとき」

先週は、不眠恐怖を取り上げました。

そして、不眠恐怖に対しては専門的にはエクスポージャー(暴露)と呼ばれる方法が役に立つと書きました。

エクスポージャーは、不眠恐怖に限らず、強い恐怖や不安が続いて困っているときに役に立つ方法です。

認知行動療法では、恐怖や不安は、危険を感じているときに表れる感情だと考えます。

それは、現実に迫っている危険のこともあれば、考えすぎの場合もあります。

現実に危険が迫ってきているときに感じる恐怖や不安は、自分を守る大切な感情です。

恐怖や不安を感じるからこそ、私たちは事前に準備をして、それが身を守ることになるのです。

現実に危険なときに「何とかなる」とのんびり構えていると、大変な状況に巻き込まれてしまうことになりかねません。

その一方で、さほど危険でもないときに危険だと考えすぎてしまうと、つらい気持ちになってきます。

頭や身体が緊張して、本来持っている力を発揮できなくなります。

考えすぎというのは、危険を現実以上に大きく考えたり、その危険な状況に対処する自分の力を低く評価しすぎたりしている状態です。

危険が迫ってきたときのまわりからの支援を低く見積もりすぎている場合も、考えすぎに入ります。

つまり、危険を過大評価し、自分の力やまわりからの支援を過小評価しすぎたときに、恐怖や不安は必要以上に強くなります。

そのとき、考えすぎているかどうかは、どのようにして判断すると良いのでしょうか。

もちろん、危険が目の前に迫っているのであれば、すぐに逃げなくてはなりません。

しかし、どの程度危険かわからないときには、現実を確認する必要があります。

何が起きていて、それがどのように変化していっているのかを確認して、そのうえで判断するのです。

現実を確認して危険でないとわかれば安心できますし、実際に危険が迫ってきていればすぐに逃げるようにします。

そのように危険だと考えている場面に足を踏み入れて、何が起きているのかを見るのがエクスポージャーと呼ばれる方法です。

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■大野先生講演情報
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日時 : 2018年9月8日(土)13時半~15時半(13時開場)
会場 : 静岡市清水文化会館「マリナート」大ホール
●詳細や申込み方法については、下記URLリンク先をご覧ください。
http://www.city.shizuoka.jp/821_000040.html

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会場 : 海老名市文化会館 小ホール
●詳細や申込み方法については、下記URLリンク先をご覧ください。
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