前回は、東日本大震災の被災地、宮城県女川町に訪問したときの体験を書きました。
最初はその場所で自分に何ができるかを考えて不安になりましたが、前回も書いたように、何ができるかというのは、後ろ向きの考えのことがあるので注意しなくてはなりません。
「何ができるか」という考えの裏には、「“これから”何ができるか」、さらには「何もできないのではないか」という悲観的な考えが隠れていることがあるからです。
幸い私は、女川町の人たちと接することで、私は、何ができるかを考えるのではなく、今自分にできることをしていくことで、状況が変わってくることを学ぶことができました。
“これから”のことは、いまの時点では何も分かりません。
それなのに、いつの間にか私は、これから“何もできないのでないか”と考えていたのです。
こうした考えが困るのは、意識されないまま、そうした考えがこころの中を通り過ぎるからです。
自分では“何ができるか”と前向きに考えているように思っていて、“これから何もできないのではないか”という後ろ向きの考えは意識できていません。
ほとんど意識されないまま自動的に浮かんで消えていくことから、これを「自動思考」と呼びます。
もちろん、自動思考にはポジティブなものもあります。
良いことが起きると、自分を励ますような考えがこころの中を通り過ぎ、それが自信になっていきます。
ただ、つらい気持ちになっているときには、自動思考はネガティブになっています。
しかも、その考えはとてもパワーがあります。
“何もできない”と考えると、何かをしようという気持ちがなくなってきます。
そのために結局何もできないまま時間が過ぎて自信がなくなり、その結果、何かをしようという気力が、ますます失われてきます。
そのパワフルな考えに対抗するためには、まずその考えを意識する必要があります。
そのためには、「こころのスキルアップトレーニング」(https://www.cbtjp.net/)の「かんたんコラム」や「こころが晴れるコラム」などの記入用コラムを使ってとっさに浮かんだ考えを書き出してみると良いでしょう。
そのときには、最初に意識できた考えだけでなく、その考えの裏に隠れている可能性のある考えも書き出すようにしてみてください。
それだけでネガティブな自動思考の暴走にブレーキをかけることができます。