先日、テニスの松岡修造さんの講演を聞く機会がありました。
テレビで観るのと同じで、演題から離れて自由に動きながら話す熱のこもった内容に引き込まれて、時間が経つのを忘れてしまいました。
松岡さんは、テニスを本格的に始めて間もない錦織圭選手が外国の選手と戦った後に、相手の背が高くて思うように対応できなかったと言って落ち込んでいた場面の話をしました。
錦織選手はおそらく中学生だったと思うのですが、松岡さんは、そのようにこぼした錦織選手のことを厳しく叱ったそうです。
そのように、背の高さという自分ではどうすることもできない要因に原因を押しつけようとしている姿勢に問題意識を感じたようです。
背の高さが違うというのは、年齢的に考えても、また欧米人と日本人の体格から考えても、どうしようもない現実です。
そうだとすると、その現実を受け入れた上で、何か自分の力でできることがないかを考えてみなくてはなりません。
そのときに大事になるのは、自分が何を目指しているかを再確認することと、その目標に少しでも近づく手立てを考えることです。
物事がうまくいかなかったときは、どこに問題があるかを考えて対策を立てる必要があります。
そうしたときに、私たちは往々にして、変えようのない問題に目を向けて、どうすることもできないと考えていることがあります。
「背が低い」というのも同じです。
たしかに、錦織選手が負けたのは、子どもで背が低かったことが関係しているかもしれません。
しかし、そう考えたのでは、年齢が高くなって身長が伸びるまで何もできないことになります。
もし、本当に試合に勝ちたいのであれば、何をどのように変えれば勝つことができるかを考えなくてはなりません。
そのためには、「試合に勝てるようになりたい」という自分の思いを確認することが大事になります。
そして、そのために「いま、自分に、何ができるか」を考えて、いま自分の力でできることに、ひとつひとつ計画を立て、取り組んでいくことが大事になります。