先日、WhyクエスチョンとHowクエスチョンについて質問を受けました。
私が講演のときなどによく、「Whyクエスチョンではなく、Howクエスチョンをしよう」と話すからです。
ここでWhyクエスチョンというのは、「なぜ」「どうして」と理由を探っていくような質問で、私は「原因探し」の質問と呼んでいます。
一方、Howクエスチョンというのは、「どのようにすればいいか」と解決策を探す質問で、「手立て探し」の質問と呼んでいます。
さて、冒頭に書いたWhyクエスチョンとHowクエスチョンについての質問ですが、その方は、原因がわからないと本当に気持ちが楽にはならないのではないかと書かれていました。
たしかにその通りで、問題があって困っているときに、原因がわからないと問題を完全に解決することはできません。
ですから、原因を突きとめて解決していくことはとても大事です。
しかし、困った問題が起きたときに、すべてその原因がわかるかというと、必ずしもそうではありません。
むしろ原因がわからないことの方が多いでしょう。
原因がわかっても解決策が見えてこないことも、よくあります。
そうしたときに、原因探しをしようとしすぎると、原因を見つけられないこと自体が問題のように思えてきます。
そうすると、自分で自分を責めるようになってきます。
そもそも「なぜこうしないの」「どうしてこんなことをしたの」といった原因探しの言葉は、人間関係では相手を責めるときによく使う表現です。
自分で自分を責めるときにも、こころのなかでこうした表現を使っています。
それではつらくなるばかりで、先に進んでいくことができません。
そのことに気づいたときには、「原因探し」ではなく「手立て探し」に切りかえる必要があります。
問題はあるのですから、その問題にどのように対処するかを考えるようにするのです。
何らかの対応策が見えてくれば、気持ちが楽になってきますし、自信も出てきます。
このような理由で私は、「原因探し」をしていたずらに自分を責めるのではなく、「手立て探し」に切りかえて問題に対処していくことを勧めるために、講演で「WhyクエスチョンではなくHowクエスチョンをしよう」と言っています。