新型コロナウイルス感染症がくすぶり続けています。
昨年までは、感染症にかかることなど実感できず、高齢者向けの肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンを打つくらいでした。
しかし、新型コロナウイルス感染症が拡大して、のんびり構えていられないと考えて身構えているなか、九州を中心に大規模な豪雨災害が起こり、自然の驚異の凄さに圧倒される思いがしています。
いくら科学が進歩しても大自然のなかでは人間は弱い存在なのだと、テレビの映像を観ながら、あらためて感じています。
その一方で、豪雨被害を体験した人たちが、さっそく、土砂まみれになった家屋の復旧に取り組んでいる様子を見ると、人間の持つ強さも同時に感じます。
災害関係でよく使われる「トラウマ後成長」という言葉があります。
災害など、悲惨な体験をした人が、そのなかで心理的に成長し、強くなっていくプロセスを表現した言葉です。
いまの、新型コロナウイルス感染症や豪雨災害を前に、私は、このトラウマ後成長という言葉を思い出しています。
自然災害は、たしかに私たち人間に大きな被害をもたらしています。
しかし、そうした悲惨な体験をしながらも、多くの人たちはその体験に負けないで、自分らしい生活を取り戻していきます。
このことを、私は、東日本大震災の復旧・復興の手伝いに行ったときに感じました。
地元の方々は、日常の多くの問題を、いろいろと工夫しながら解決していっていました。
その結果、問題に対処する力が育ってきます。
生き残った人たちは、自分が何のために生きていくのか、人生の意味をもう一度見つめ直して確認しているようでした。
こうしたなかで、地元の方々は、お互いの人間的つながりを確認し、いままで以上に助け合うことができるようになります。
その結果、地域社会もまた成長していきます。
新型コロナウイルス感染症が拡大しているなか、災害が起きたときのための準備をしている自治体の様子をテレビで観たことがあります。
そうしたことができたのも、様々な災害のなかで地域社会が成長していたからでしょう。
私たちは現在、大変なストレス状況にありますが、これを未来のために生かすことが求められているのだと思います。