こころトーク

2021.01.15

第277回 「感染者数の増加と重症化数が比例しない理由」

新型コロナウイルスの感染が確認された人の数が急激に増え、緊急事態宣言が発出されました。

寒さや乾燥が影響しているのではないかと私はみているのですが、そのように感染者が増えている状況ですから、自分も感染するのではないかと、いままで以上に感染対策に気をつけるようになっている人も多いと思います。

私も気をつけないといけないと思っている一人なのですが、その一方で、急激に感染者数が増えた割には重症化する人や命を落とす人が同じペースで増えないのを不思議に思っていました。

そうしたなか、東北大学の押谷仁教授が感染データをもとに、若い人たちの検査が増えた結果、陽性と確認される人も増えたのではないかという分析結果を報告しました。

年末年始に政治家が亡くなったり、自宅で亡くなる人が出たりしたために、感染リスクを感じた若い人たちが検査を受けるようになったのではないかというのです。

その報告をニュースで知って、私は、納得がいくと同時に、安心もしました。

納得したというのは、新型コロナウイルスが確認されてからの1年間の経験から、若い人は重症化することが少ないことがわかっているからです。

若い人の検査数が増えた結果として陽性と判断された人が増えたのなら、重症化する人が同じペースで増えていかないのは十分に理解できます。

安心したというのは、感染確認者の数が増えていっているといっても、重症化する可能性の低い若い人の感染確認が増えているためだとわかったからです。

それに、感染の可能性があるときに検査を受ける若い人たちが増えているのも安心材料です。

これまで若い人たちは、「若いと重症化しないのだから、感染してもたいしたことはない」と考えて検査を受けず、これまで通り自由に行動する人が多かったのではないでしょうか。

その結果、無症状の感染者が他の人に感染させることになった可能性もあります。

若い人でも、感染の可能性があるときには検査を受けて、陽性の場合には他の人との接触を避けるなど、きちんとした対応をする必要があります。

今回の押谷教授の報告を読むと、現状はそのようになってきているようです。

このように現実の危険性を的確に把握して冷静に対応しようとしている人が増えてきていることにも目を向け、一人一人が適切な感染対策をして、いまの厳しい状況を切り抜けていけるとよいと考えています。

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