こころトーク

2021.04.30

第292回 「こころに『ごほうび』あげていますか?」

「散歩の味は蜜の味」という言葉が、「ハートランドしぎさん」のスタッフが作った『ハートランド ごほうび大全集』のなかに載っていて、なるほどと思いました。

「ハートランドしぎさん」は、奈良県にある精神科専門病院で、認知行動療法に熱心なことから交流があります。

そのスタッフが、コロナ禍でこころが疲れがちの人たちのためにと考えて作ったのが『ハートランド ごほうび大全集』です。

そのきっかけは、新型コロナウイルス感染症の拡大です。

1年前に新型コロナウイルスの感染が拡大したために、病院スタッフがストレスを感じることが多くなりました。

そうしたなか、いわゆるエッセンシャルワーカーとして働いている病院のスタッフが、自分で自分のこころに渡しているごほうびをまとめれば、多くの人の役に立つのではないかと考えて『ハートランド ごほうび大全集』を作ることにしたそうです。

それにしても『ハートランド ごほうび大全集』というのは絶妙なネーミングです。

私たちのこころの元気は、ただ待っていても出てくるわけではありません。

何かをして「良かった」「楽しかった」と感じるから、「もう一度やってみよう」とか「もう少し頑張ってみよう」とかいったこころのエネルギーが出てくるのです。

意識しないまま行動していたことが「ごほうび」になって、こころを元気にしていきます。

ごほうびはこころの栄養なのです。

どのような行動が栄養になるかは、人によって違いますし、その時その時で違います。

ごほうびは、ごく小さなごほうびでも、多ければ多いほど、その恩恵を受けることができます。

さて、お気づきのように、冒頭に紹介した「散歩の味は蜜の味」は、密を避ける新型コロナウイルス感染症対策から生まれた発想です。

そのページには、新型コロナウイルスに感染しないように密は避けたいと思う一方で、家のなかに閉じこもってばかりいたのではこころが塞いでしまうので、散歩をごほうびにしたと書かれています。

犬を連れて地元の川沿いを散歩していると、いろいろなものが目に入ってきます。

いろいろな形の雲から想像を膨らませたり、野鳥や草花を観察したりすることができます。

散歩というひとつの行動から、心が安まる、たくさんの小さな体験ができることがわかる素敵な内容でした。

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