先日、小児・青春期精神医学の第一人者の青木省三先生の講演を聞く機会がありました。
ご自分の臨床体験を交えながらお話しされていて、とても豊かな時間を持つことができました。
その講演の締めくくりで話されたのが、こころを軽くする「時薬、人薬、楽薬」という考え方です。
医療場面だけでなく、様々な生活場面で役に立つ素晴らしい言葉です。
そのそれぞれについて説明する前に、まず、こころを軽くする知恵を3つにまとめられたところが素晴らしいと思いました。
私たちは、大事なことを伝えるとき、たくさん伝えたくなります。
本を通して、大事なことほど多くのことを覚えたくなります。
私自身がそうなのですが、大事だという思いが強くなると、「あれも」「これも」大事に思えてきます。
しかし、皆さんもすでにおわかりだと思いますが、たくさんのことを話されても頭に入ってきません。
本を読んでも、多くのことは頭に残りません。
そんなに多くのことは思い出すこともできません。
頭の容量オーバーになります。
そこで思い出してほしいのが「3つの法則」です。
大事なことを3つにまとめると頭に残りますし、思い出しやすくなります。
細かいことはその後で良いのです。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、私も講演のとき、「こころを元気にする3つのC」というタイトルで話をすることがよくあります。
「3つのC」というのは、自分にできるという自信につながるコントロール(Control)感覚、しなやかに考えて現実に足の着いた対処をできるようになる認知(Cognition)、人間的な繋がりの基礎になるコミュニケーション(Communication)の頭文字を取って作った造語です。
以前はいくつものことを話していたのですが、知人から、面白い話だったけど頭に残らなかったと言われたのがきっかけです。
じつは、私は物覚えが悪くてそれが劣等感になっているのですが、3つにまとめようとすると、頭に残りやすくなりますし、日々の生活のなかで使えるようにもなってきます。
次回は、青木先生の3つの法則「時薬、人薬、楽薬」について説明していくことにします。