こころトーク

2022.11.18

第373回 「『笑い』が持つ不思議な力」

第22回日本認知療法・認知行動療法学会が終わりました。

開催前はどのくらいの参加者になるかわからず心配でしたが、予想以上に多くの人が参加して、議論も活発で大成功でした。

前回紹介した市民公開講座の松本ハウスさんとの対談も多くの人に参加していただけました。

最初に、お笑いコンビの松本ハウスさんによる統合失調症をテーマにした漫才がありましたが、現実と頭の中が渾然一体(こんぜんいったい:いくつかのものが溶け合って区別がつかないさま)としたこころの混乱状態が見事に表現されていて、統合失調症を持つ人の不確実感と不安感を体感することができました。

漫才を見ていた私のこころも混乱しそうになりましたが、二人が創り出す笑いの空間のおかげで、乱れそうになったこころが安定してくるという体験もしました。

それにしても、笑いには不思議な力があります。

一人でいても、笑顔になるとこころが軽くなります。

二人で一緒に笑うと、その場が明るくなります。

私は、診療をしているとき、患者さんと一緒に自然に笑えるようになると、治療が進んでいると実感します。

そこからさらに進んでいける希望がわいてきます。

多くの人と一緒にいるときも同じです。

今回の市民公開講座でもそうだったのですが、みんなで一緒に笑えると明るい気持ちになってきます。

日本の笑いのパワーの起源は天照大神にあると、言われることがあります。

弟のスサノオノミコトの良くない行動に怒った天照大神は天岩戸の中に閉じこもり、世界は闇に覆われます。

困った人たちは、天岩戸の前に集まって、いかにも楽しそうに語り、笑います。

あまりにも楽しそうな外の様子を疑問に思った天照大神が岩戸を開けると、外の世界に光が戻ります。

もっと詳しいことを知りたい人はネットで調べていただきたいのですが、人々が笑えば、それが作られた笑いであっても、世の中が明るくなるということを伝えたくて、昔の人はこのような話を作ったのだろうと思います。

こうした笑いのパワーを目の前で存分に展開している松本ハウスさんの世界に、いつの間にか私も飲み込まれて、幸せな気持ちになっていました。

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