将棋の藤井聡太さんが棋王戦を制して、史上最年少で六冠を達成しました。
私は将棋のことはよくわかりませんが、ニュースでは八冠獲得を目指すと書かれていて、その才能には驚いてしまいます。
将棋といえば、ずいぶん前に「こころトーク」で紹介した、青野照市九段からうかがった言葉を思い出します。
青野さんの話は、知的な闘いのように見える将棋でも、心理的な要素がとても大事だというものでした。
「こころトーク」では、自分が行きづまっているときには相手も行きづまっているとおっしゃっていたことを紹介しました。
将棋がそこそこ上手な人は、将棋の手が行きづまったときに、何とか自分でその場を変えようとひとりで頑張りすぎるそうです。
そうすると、自分の手が見えなくなり、結局は自滅してしまうそうです。
そうしたときに、どうせこれ以上頑張っても良い手が見つからないと考えて、好きなようにしてみろと、相手に任せるくらいにした方が良いということでした。
自分を信頼して相手に任せる勇気を持つことが大事なのでしょう。
そのとき青野さんは、強い棋士でも実際はそんなに先を読んではいないとおっしゃっていて、これもまた驚きでした。
私のような素人は、強い棋士は何手も先を読んで、考えられるなかで一番良い手を打つのだろうと思います。
じつはそうではなく、将棋の駒を置こうとしたその瞬間の自分の感覚が大事だというのです。
駒を置こうとしたそのとき、気持ちが良ければそのまま駒を置きます。
しかし、何かイヤな感じがしたときには、駒を置かないで別の手を考えるそうです。
これもまた、自分の感覚を大事にするという意味で、自分を信頼することの大切さがわかるエピソードです。
最近は、将棋でもAI(人工知能)が活用されていて、AI棋士が人間の棋士を破ったという話も聞きます。
しかし、第六感など、人間だからこそ使える力もあります。
その力を意識すれば、今まで以上に自分らしい生き方ができるようになるでしょう。