先月末に開いたジュディス・ベック先生の講演会で、参加者から、なぜそのようにエネルギッシュに話し続けられるのかという質問が出ました。
体調が万全ではなく、時差も残っているはずなのに、次々と話が展開していきます。
座るための椅子を用意したのですが、結局その椅子は使わず、立ったままで話し続けている様子を見て、参加者は、どこからそのエネルギーが出ているのかを知りたくなったようです。
それに対して、ベック先生は、私は教えるのが好きだからと答えました。
教えるのが好きだから、人前で話していると、つい熱がこもってしまうようです。
そういえば、ベック先生は最初、教育学の博士号を取っています。
それは、先週紹介した木村さんも同じです。
木村さんは、最初の大学で建築学を専攻しました。
しかし、完璧主義的な性格傾向が影響して、うまく課題をこなすことができなくなったと言います。
あるとき、建築の模型を徹夜で仕上げたのですが、自分が思ったようなものになっていないと考えて、それを壊してしまいます。
その出来事をきっかけに、木村さんのうつ病の状態が悪化していきます。
そして、大学を中退することになります。
その後、もう一度大学に入り直すのですが、そのとき選んだのが、もともと興味を持っていた教育学のコースです。
それでも病状は安定しません。
仕事も長く続かず、職を転々とすることになりますが、最終的に復職を目指している人の教育を担当することになって、病状が安定してきます。
もともと好きだった教える仕事に就けたのが良かったのでしょう。
前回紹介したような工夫をしながら、自分らしさを感じることができるようになったようです。
私たちは、自分が関心を持っていることに取り組むことができれば、元気になってきます。
関心のあることであれば、いま以上に良いものになるように工夫ができるようにもなります。
あらためてNHK厚生文化事業団のDVDを観て、木村さんが話をするときに工夫できていたのは、「教える」という自分が好きな領域で仕事ができるようになっていたことが大きく影響していると思いました。