こころトーク

2024.01.05

第432回 「楽しくなければ頑張れない、夢があるから頑張れる」

昨年末、横浜の「あかいくつ劇場」で上演されたOUTBACKアクターズスクール第3回横浜演劇公演に呼んでいただきました。

私は、二つの演目の間に「リカバリーを目指す認知行動療法~楽しくなければ頑張れない、夢があるから頑張れる~」と題して講演しました。

OUTBACKアクターズスクールは、精神障害の当事者中心の横浜に根拠地を置く劇団です。

今回は、ラップを通して自分たちの苦しみと頑張りを表現した劇「愛と変容についてのラップバトル」と、自分たちが作った歌を中心に幸せについて考える劇「スナック青い鳥」を上演して、その間に私の「アスピレーション・トーク」が入るという構成になっていました。

アクターズスクールの劇はどちらも熱気に溢れていました。

スクール校長中村マミコさんが案内のチラシのなかで「なんたる矛盾、且つ力強い歌詞なのでしょう」と書かれているように、たとえば歌詞のなかに「死ぬまで弱いメンタルでも、声高に陽気に生きていけたらいいな」という表現が出てきます。

中村さんが書かれているように、この力強さがアクターズスクールやメンタル不調の人たちのエネルギーになっているのを感じました。

劇のなかで「一緒に、一緒に、一緒に」と皆で叫ぶ場面が出てきますが、そのかけ声どおり、すべての場面で出演者や協力者が力をあわせて、劇を盛り上げていました。

私は劇の勢いに背中を押されながら、アスピレーションを意識してリカバリーを目指す認知行動療法(CT-R)について話をして、その後に出演者の方二人と少し対談をしました。

CT-Rは、at the best momentと呼ばれるそれぞれの人が自分にとって最もよい体験をしている瞬間に目を向けます。

そして、そのときの活動やこころの状態を大切にしながら、それぞれの人にとって自分らしい夢や希望に近づいていくようにします。

CT-Rについて、私は、毎月第3土曜日午後に開催しているストレスマネジメントネットワークのケース検討会で「楽しくなければ頑張れない、夢があるから頑張れる」と表現したことがあります。

今回の講演は、その思いを込めて話すことにしました。

もちろんアスピレーションを求める過程にはチャレンジと呼ばれる課題が生じることがありますが、アスピレーションを忘れず工夫すれば先に進んでいくことは可能です。

今回の演劇では見事にその考え方が体現されていて、その劇を目の当たりにした観客に、認知行動療法の立場からその意義を語るのはある意味、私にとって心地よい体験でもありました。

今回の公演&講演は、間もなくYouTubeにもアップされると聞いています。

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