こころトーク

2024.01.19

第434回 「こころの支えとなる人とのつながり」

前回は、被災地のこころのケアのためには、地域での人と人とのつながりはもちろん、地域を越えた人と人とのつながりが大切だと書きました。

私たち人間は、太古の昔から150人くらいの人間の集団のなかで生きてきたと言われています。

災害は、そうした人と人のつながりを断ち切ります。

コミュニティが破壊され、それまでの安心できる環境を失ってしまいます。

そのような状況に置かれると、誰もが心細く不安になります。

そうしたなか、被災した地域の中学生が集団避難をするというニュースが流れました。

中学生もその家族も不安だと思いますが、ぜひ乗り切ってほしいと祈る気持ちです。

そのニュースに接して、私は、中学進学時に親元を離れて下宿生活を始めたときの心細さを思い出しました。

以前にも書いたことがありますが、私が生まれ育った地域は、愛媛県南部の高知県との県境にある寒村です。

ずいぶん前に小学校が廃校になった、過疎の地域だったこともあって、私は、両親が勧めるままに中学受験をして、松山市にある一貫教育校の愛光学園に進むことになりました。

両親は、きちんとした教育を私に受けさせようと考えたのでしょうが、私はそんな考えに配慮できる余裕などありませんでした。

無事に合格してまかないつきの下宿で生活を始めたのですが、寂しい気持ちでいっぱいで、その恨みを親にぶつけるようになりました。

当然のように成績は悪く、高校1年生のときに落第することになります。

それでも、いまこのように自分なりに活動できているのは、他の人の手助けがあったからだと考えています。

両親や友人、学校の教師に加えて、私の場合、下宿のおばさんの存在がとても支えになりました。

いくつかの下宿にお世話になったのですが、なかでも一番長くお世話になった下宿のおばさんは、自分の家族と同じ態度で私に接してくれました。

いま考えると、そのごく普通の態度が私にとっては心地よかったのだと思います。

そのおかげで私は、少しずつではありましたが、普通の高校生のような生活をするようになっていきました。

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