こころトーク

2024.02.02

第436回 「安心できる誰かと話してみませんか?」

先週末に大阪で、認知行動療法を使ったセルフケアについての研修を、産業場面で働く看護師の方々向けに行いました。

そこで私は、セルフケアは一人ではできないという趣旨で話をしました。

もちろん、自分を振り返るセルフモニタリングをストレス対処の軸に置いている認知行動療法のスキルはセルフケアの役に立ちます。

しかし、セルフモニタリングだけでは不十分なことが少なくありません。

一人で自分を振り返り、考えていると、独りよがりになって、同じ考えから抜け出せなくなりやすいからです。

自分の世界に入り込んでしまって、周囲から孤立してしまっているように感じる可能性もあります。

認知行動療法では、精神的につらくなっているときの「否定的認知の三徴」と呼ばれる考え方に目を向けます。

否定的認知の三徴というのは、自分自身、周囲との関係、将来に対するネガティブな考えです。

私たちがつらくなっているときには、自信を持てなくなっています。

周囲から受け入れられていないように感じて、孤立感や孤独感を抱くようになっています。

将来への展望が持てなくなり、絶望的な気持ちになってもいます。

一人でこうした考えを振り払おうとしても、簡単にはいきません。

やめようと思えば思うほど、その考えにとりつかれて、自分を追い込んでいってしまうことになります。

そうしたときに、安心できる人と話をすると、それだけで気持ちがラクになります。

話をするといっても、必ずしも悩みを相談しなくてはならないというわけではありません。

他愛のない話をするだけでも、気持ちは軽くなります。

お互いに表情が緩むような話ができると、もっと良いでしょう。

安心できる人と話をすれば、一人ではないという気持ちになれます。

話をすることができた自分に気づけば、気持ちがラクになります。

他の人と話をするだけで、自分の考えから距離をとって考えることができるようにもなります。

他の人の意見をヒントに、新しい視点で考えることができるようになります。

このように、信頼できる人の存在を意識できることはセルフケアのために大切です。

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