こころトーク

2024.02.09

第437回 「自分なりの問題対処法の工夫に目を向けてみませんか?」

前回、信頼できる人の存在を意識できることがセルフケアのために大きな役割を果たすと書きました。

だからといって、問題に直面したときに、すぐに人に頼れば良いというわけではありません。

信頼できる人の存在を意識する一方で、きちんと問題に目を向けて、どのように対処すればいいかを考えることは、もちろん大切です。

うまくいかなかったからといって、そこで簡単にあきらめてしまうのは良いことではありません。

まず自分の力でその問題に対処する必要があります。

しかし、そのように問題があるときには、なかなか思うように問題に向き合うことができません。

そうするだけのこころの元気がないからです。

しかも、問題に対処できているところがあっても、精神的に追い込まれていると、そのように自分ができているところに気づくことができないことも、少なくありません。

私は、読売新聞の「人生案内」(読者から寄せられた悩みや相談に回答者が答えるコーナー)を回答者のひとりとして担当しています。担当者が仕分けした読者からの質問が毎月3つほど送られてきて、回答を書いて送り返します。

1000字前後の短い質問文を読んだだけで回答を考えるのは、なかなか大変です。

いつもの診療のように、相手の人と話し合いながら一緒に解決策を見つけていくこともできません。

でも、質問文をじっくり読んでみると、その中にその人なりの解決策が書かれていることがほとんどだということに気づきました。

質問文を送ってきた人は、当然のことですが、つらい悩みにばかり目がいって、自分で考えた解決策に目が向かなくなっているのです。

ですから、回答者としての私は、質問者の工夫に光を当てて見つけやすくするようにすればいいのです。

考えてみれば、私は通常の診療でも、相談に来た人の工夫を聞くことを大切にしています。

それぞれの人が、それぞれに工夫しているからです。

自分で自分の悩みに目を向けるときにも、同時に、自分の工夫にも目を向けるようにするとセルフケアの質が格段に上がるはずです。

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