こころトーク

2015.10.30

第5回 「つらいだけではない「ネガティブ感情」」

これまで何度か書いてきましたが、私たちの感情は、「うつ」、「不安」、「怒り」、「喜び」の4つに分けられます。

これがいわゆる4大感情で、このうちの「うつ」、「不安」、「怒り」がネガティブ感情、「喜び」がポジティブ感情です。

こんなネガティブ感情など、つらいので体験したくないと考える人も少なくないと思います。

その気持ちは理解できますが、でもネガティブ感情がなくなると私たちは困ってしまいます。

ネガティブ感情には、良くないことが起きている可能性があることを知らせるアラーム(警報)としての意味があるからです。

ずっと以前、抗不安薬という不安を和らげるクスリが開発されたときのことです。

これで私たちは不安から解放されるといった人がいました。

それに対して、ある高名な精神科医が決してそうはならないと言ったそうです。

不安などのネガティブ感情は、私たちが危険な目に遭わないで済むように、私たちを守る働きをしています。

その意味で、こころの痛みと体の痛みはよく似た働きをしています。

生まれつき体の痛みを感じない先天性の病気があります。

痛みを感じないというのは、ちょっと考えると良いようですが、決してそんなことはありません。

そうした障害を持った人は、いろいろなところにぶつかっても痛みを感じません。

そうすると、まったく自由に走り回って、体をいろいろなところにぶつけ、その結果、体のあちこち骨折することになります。

一方、物にぶつかって痛みを感じれば、次はそうした痛みを感じないように慎重に行動するようになります。

体の痛みというのは、このように私たちの体を健康に守る働きをしています。

こころの痛みも同じです。

何かをしてこころの痛みを感じたとき、私たちはそれ以上痛みを感じないように行動を変えます。

そのような痛みを感じないで済むように予め行動を変えることもあるでしょう。

このように、こころの痛みであるネガティブ感情は私たちをしっかりと守る働きをしているのです。