こころトーク

2015.12.04

第10回 「同じことがグルグル頭をめぐっていませんか?」

先日、私の仲間が英国の専門家を招待して、「反すう」に対する認知行動療法の研修会を開きました。

「反すう」という言葉は、一般の方には聞き慣れないかもしれませんが、あれこれと頭の中で思い悩む状態を精神医学ではこのように表現します。

牛が食べ物を飲み込んだ後に、もう一度口に戻して噛んで、また飲み込み、また口に戻すという行動を「反すう」と呼びますが、まさに同じ状態が頭の中で起きています。

そのようにあれこれ考えることで何か問題解決の手がかりが見えてくれば良いのですが、ほとんどの場合、考えは行ったり来たりで、先に進んでいきません。

悩みからなかなか抜け出せないでつらくなっているときや、うつ状態が長引いているときにはこのような思考状態になっています。

そうしたときの対処法のポイントは、whyからhowへの発想の転換です。

Whyというのは、「なぜ」と原因を考える思考パターンです。

問題が起きて困っているのですから、原因を考えてそれを解決しようとすることは意味があります。

しかし、原因がはっきりしないこともよくあります。

過去を振り返ってくよくよしても現実は変えられません。

そうしたときに「何でこんなことになったのだろう」「どうしてもっと早く手を打たなかったのだろう」と考えていると、きちんとしていなかった自分がいかにもダメな人間のように思えてきて、ますます悩みは深くなっていきます。

実際、人間関係でも「どうして?」「なぜ?」と聞かれると、そのようになった自分を責められているようでつらくなります。

「反すう」状態になっているときには、こころの中で、自分が自分を責めるようになっています。

そのことに気づいたら、whyではなくhowと考えるようにしてください。

Howというのは「どのように」と考える思考パターンです。

いま目の前にある問題に「どのように対処していけば良いのだろう」と、意識的に考えてみるようにするのです。

過去からこれからに目を向けてみると、新しい景色が目に入ってきて、いろいろな可能性があることに気づけるようになります。

 

 

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