こころトーク

2015.12.25

第13回 「「下町ロケット」を応援しながら」

先日終わったテレビドラマ「下町ロケット」が高視聴率だったそうです。

私も、仕事がたまっていると思いながら、つい毎回観てしまいました。

今回は、心臓弁の開発をめぐる闘いでした。

少しでも人工弁の精度を上げようと取り組んでいる技術者の姿を見ていると、ドラマだとはわかっていても応援してしまいます。

それは、私が自分に自信が持てない人間だからなのかもしれません。

そのようなことを考えたのは、最近、若かったころのことを思い出す機会があったからです。

以前からいろいろなところで書いたり話したりしてきたが、私は、高校1年の時に成績が悪くて落第しました。

大学入試もうまくいかなくて、3年間、いろいろな大学を受験し続けました。

幸い、大学に入ることはできましたが、その後も、何かに失敗するのではないかという漠然とした不安を感じ続けています。

それが私の頑張りのエネルギーになっていると思いますが、だからこそ、人工弁を作ろうとみんなで頑張る姿に自分を移し替えて、もう少し自分も頑張ってみようと思います。

ものごとがうまく進まず、先を考えて不安になっていると、こころが折れそうになります。

認知行動療法では、不安や心配は、問題の大きさ、自分の力、まわりからの支援の3つの要因が影響していると考えます。

いくら問題が大きくても、自分の力で何とかできると考えると不安な気持ちは和らぎますが、自分にそれだけの力がないと考えると心配な気持ちは強くなります。

そのような状況でも、他の人に助けてもらえる可能性があると考えると気持ちは楽になります。

しかし、他の人の手助けが期待できず、すべてを自分の力で対応しなくてはならないと考えると、気持ちは重くなります。

さて、「下町ロケット」では、若い技術者たちが失敗を重ねながらも工夫して精度の高い製品を作り上げます。

それが可能になったのは、仲間や上司の支えがあったからです。

最初はギクシャクしていた人間関係が少しずつ変化していって、お互い助け合うようになります。

そうすると、それまで以上に力を再認識できるようになります。

私もこの一年、多くの人に助けられてここまでくることができました。

そのことに感謝しながら、新しい年を迎えたいと考えています。

 

 

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