前回紹介した「かんたんコラム」には入っていないのですが、「こころが晴れるコラム」や「考えを切り替えバランスを取る練習」では感情を書き出した後、その強さをパーセントで表せるようになっています。
このように感情を“数値化”することには、どのような意味があるのでしょうか。
それには、感情に巻き込まれないで冷静になれることと、感情の変化を確認することができることの、二つの意味があります。
まず、感情に巻き込まれないで冷静になれるという第一の意味について考えてみましょう。
私たちは、つらい感情がわいてきたとき、それを実際以上に強く感じる傾向があります。
そのときは、その感情で心がいっぱいになっているので、「100点満点つらい」と感じるのです。
そうすると、その感情に目が向いて、その感情をますます強く感じるようになってきます。
実際に体験しているつらさを100とすると、それが120にも130にも感じられるようになってくるのです。
その結果、「これだけつらいのだから、大変な状況になっているのに違いない」と考え、ますます追いつめられたように感じてきます。
感情が考えに影響して、現実をありのままに見ることができなくなるのです。
そうしたときに、その感情がまったく存在していない状態を0、考えられる最大の強さの状態を100として、そのときの感情の強さを評価するようにします。
そのようにして感情を点数化しようとすれば、少し冷静になって自分が置かれている状況やそのときの気持ちを振り返られるようになってきます。
コラム法ではその後、自動思考を検討し、バランスがとれた前向きの考えを書き出し、それによって感情がどうなったかを書いていきます。
そのとき、最初に点数化していれば、感情が変化したかどうかを数字で判断することができます。
それが、感情を点数化する第2の意味です。
もし感情の強さが変化していれば、新しい考えが役に立つということがわかります。
しかし、もし変化していなければ、もう少し他の考え方ができないか、頭をひねる必要があります。
そして、こうしているうちに自分を取り戻すことができ、感情に流されないできちんとした判断ができるようになります。