こころトーク

2016.02.19

第21回 「動くことだけが「行動活性化」ではありません」

認知行動療法でよく使われる方法(スキル)に「行動活性化」があります。

ここトレサイト(http://www.cbtjp.net)で「行動を通してこころを軽くする練習」としているもので、以前「こころトーク」で何回か紹介しました。

これは、脳の報酬系を刺激してやる気を出す方法です。

私たちのやる気は、ただ待っていても出てきません。

何かをして「良かった」と思えて、「またやってみよう」「またやってみたい」という気力がわいてきます。

これが脳の報酬系を刺激するということです。

しかし、行動を通してこころを軽くしましょうと言うと、「体が重くて動かないときにも、体を動かした方が良いのでしょうか」と質問されることがあります。

たしかに「行動活性化」と聞くとそのようなイメージを持ちやすいのですが、決してそうではありません。

体が重くて動けないときには、積極的に体を休めた方が良いでしょう。

そうすることで体が楽になって次に向かう気力が出てくるようであれば、休むというのも十分意味のある行動です。

私たち専門家に相談に来る方の中には、休むのが苦手な人がたくさんいます。

みんなが一生懸命働いているのに休むのは申し訳ないと考えて頑張りすぎて、ますます体調を崩す人がいます。

自分が全部取りしきらないと申し訳ないと考えて、休む間もなく働いて精神的に追いつめられていく人もいます。

じつは私も休むのが苦手で、夜遅くまで原稿を書いたり、休日や週末に出張して講演したたりすることを、繰り返してきました。

私がこうした無理を続けることができたのは、おそらくそのことで皆さんに喜んでもらえるのが励みになっていたからでしょう。

そのときの「やって良かった」という思いが私の心のエネルギーになっていました。

ただ、最近は少し年を取ったこともあって、疲れを感じやすくなってきました。

そこで、自分の体調をみながら仕事の調整をしなくてはと考えるようになってきました。

まだまだ慣れないのですが、夜に疲れを感じたときには早めに体を休めます。

朝、時間の余裕があれば、ゆっくりと出かけたりもします。

このように自分を振り返りながら行動を調整することが行動活性化の基本ですが、私もそれを少しずつできるようになってきました。