こころトーク

2016.05.06

第32回 「同じ問題をどう見るか」

前回、複数の問題があるときには、問題を縦に並べて、先頭の問題からひとつずつ取り組んでいくようにすると良いと書きました。

このことを、私は、気象予報士の倉嶋厚さんから教わりました。

ご自分のうつ病体験をまとめてベストセラーになった書籍『やまない雨はない』(文春文庫刊)の著者です。

私は何度か講演をご一緒し、個人的にも少しお付き合いさせていただきました。

倉嶋さんは、もともと心配性だったそうです。

それを見かねたのでしょうか、まだ若いころ、「おまえは問題を横に並べるから良くないんだ」と、お父様がおっしゃったそうです。

問題を横に並べると、すべての問題が目に入ってきて圧倒されるし、どの問題から取り組んで良いかわからなくなる。

そうしたことを避けるために、「問題を縦に並べて、目の前の問題からひとつずつ取り組んでいけ」と助言されました。

これはとても示唆に富んだアドバイスです。

私たちは、問題があるとすべてを一気に解決したいと考えます。

真面目に問題に取り組もうとすればするほど、そうした気持ちが強くなります。

そうすると、一つひとつの問題にじっくり取り組むことができなくなります。

解決策も、最初に頭に浮かんだ限られたものになりがちです。

問題解決のコツに、「数の法則」と「判断遅延の法則」と呼ばれるものがあります。

良いか悪いかは置いておいて(判断遅延の法則)、できるだけ多くの解決策をリストアップする(数の法則)。

そして、その中から一番良い解決策を選んだり、いくつかの解決策を組み合わせて、より良い手立てを考えていったりする。

そうすれば、問題を解決できる可能性が高くなります。

そのためにも、一気に多くの問題を解決しようとするのではなく、一つひとつの問題にじっくりと取り組むことは大切です。

そのことを、倉嶋さんのお父様は「問題を縦に並べろ」という表現で伝えようとされたのだと思います。

日頃の生活のなかで私たちが工夫していることが、多くの人の役に立つということがわかる良い話だと思いました。

・『やまない雨はない』倉嶋 厚 著
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