こころトーク

2016.05.20

第34回 「「思い込み」が生み出す罠」

前回のこころトークで、「マインドフルネス」は周囲への気配りだけでなく、自分自身への気配りができる心のあり方だと書きました。

マインドフルというのは、自分や周囲をありのままに受け入れることができる豊かなこころの状態をさします。

ところが、私たちは、ストレスを感じると目の前の問題に、こころが縛りつけられてしまいます。

そうなると、全体に目配りをしながら、その場に応じた適切な判断をすることができなくなります。

その理由ですが、目の前の問題にこころが縛り付けられているようでいて、実際はいまの現実ではなく、過去の経験に、こころが縛りつけられているからです。

そのために、いまの現実の問題にきちんと向き合って、その問題に対処することができなくなるのです。

ある本で読んだのですが、インドでは、若い象に重い鎖をつけて大きな木につないでおくそうです。

もちろん、逃げないようにするためです。

そして、象が成長していくにつれて、鎖を軽いものに変えていきます。

象が成長すればするほど、鎖は軽くなります。

そして最後は、細い木にロープでつなぐだけで良くなるそうです。

この話は、ちょっと聞くと、矛盾しているように思えます。

象は成長して力が強くなっているのですから、鎖は当然、重いものに変えていく必要があるのではないかと思うからです。

しかし、現実は逆です。

これがまさに、経験を通してすり込まれた「思い込み」の力です。

重い鎖で大きい木につながれた若い象は、逃げようとしても逃げることができません。

初めのうちは何とかしたいともがくのでしょうが、いくら頑張っても成功しないと、「結局、何をしてもダメだ」と考えるようになります。

いつの間にか、経験が現実を支配するようになってくるのです。

成長して力が強くなっているにもかかわらず、縛りつける力が弱くなっているにもかかわらず、「どうせダメだ」と考えると自分の力を試そうという気持ちさえなくなってきます。

そうした過去の思い込みの世界から解放されて、冷静に現実に目を向けることができるようになれば、私たち誰もが自分本来の力を発揮できるようになってきます。

 

 

前の記事 次の記事