先日、テレビのスポーツ番組を見ていたとき、解説者が「ごく普通のことを、とても上手にできれば一流になれます」といった内容の話をしていました。
先週も書きましたが、この考え方は認知行動療法とまったく同じです。
考えを整理して気持ちを軽くするのに、魔法のような特別な方法はありません。
いつもやっていることを、自然にできるようになれば良いのです。
たしかに、どのようなスポーツでも、一流の選手のプレイは自然に流れるような形で、ムダな動きがありません。
そうすれば、自分の持っている力を最大限に発揮できます。
それがわかっているから、一流の選手は、自然にそうした動きができるように繰り返し同じ練習をするのです。
そのように繰り返し練習することで、肉体的にも心理的にも変化が生まれてきます。
そうすれば、瞬間的に同じ動きができるようになります。
一流の選手でも緊張することはあるでしょう。
大きな試合で優勝がかかっているときや、その試合に勝つことで次のステップに進むことができるときなどは、想像を絶するようなプレッシャーがかかります。
そうすると、どうしても体に力が入って、思うような体の動きをすることが難しくなってきます。
それ自体はやむを得ないことですが、それまでに同じ動きを繰り返し練習していると、自然に体が動くようになります。
もちろん、そのような動きが可能になるためには、心理的な要素も大切です。
そのひとつが、自信です。
繰り返し同じことを練習して同じ結果になることがわかっていると、自信を持って動くことができます。
自信があれば、それだけで、パフォーマンスは良くなります。
ポジティブ感情は力を引き出し、ネガティブ感情は力を殺すと言われています。
「うまくいく」「できる」と考えて行動すると、それだけ力がわいてきます。
ところが、「うまくいかないのではないか」「失敗するのではないか」と考えて動くと、こころも体も萎縮して、本来の力が発揮できなくなります。
もちろん、根拠のない自信はかえってマイナスです。
しかし、練習に裏打ちされた自信は力を引き出します。
こうした心の持ち方は、プロスポーツの世界だけでなく、毎日の生活のなかで自分らしく生きていくためにも大切です。