こころトーク

2016.08.05

第45回 「ある有名女優が役になりきるとき」

先週、「外から内へ」の考え方を紹介しました。

ここで“内”と“外”というのは、それぞれ“こころ”と“体”という意味です。

「内から外へ」というのは、こころが元気だから体が動くし笑顔が生まれるという考え方です。

それに対して、「外から内へ」というのは、体を動かしたり笑顔になったりすると、自然にこころも元気になってくるという考え方です。

そういえば、ある有名な舞台女優さんと話をする機会があったときに「姿勢から入る」とおっしゃっていたのを思い出します。

その人は、いつもは、役になりきって舞台に上がるそうです。

ですから舞台に上がるときには、その場面の気持ちになりきっていると言います。

でも、いつもそうできるかというと、必ずしもそうではありません。

悲しい気持ちになる場面で、そのような気持ちになれないときもあります。

多くの人が認める女優さんでもそのようなことがあるのだと不思議に納得したのですが、そうしたとき、その人は「姿勢から入る」とおっしゃっていました。

悲しいときにはひどく悲しんでいる姿勢、怒っているときには怒っている姿勢をとるというのです。

背中を丸めて顔を伏せて、涙をぐっとこらえているような姿勢をとって、拳を強く握りしめる。

そうすると、自然と悲しい気持ちになってくるのだそうです。

怒っている場面では、厳しい表情をして大きな怒鳴り声を出します。

そうすると、表情や態度に気持ちが引っ張られて、怒りの気持ちがわき起こってくるといいます。

その話を聞いていて、私は、「外から内へ」の発想は怒りのコントロール(アンガー・マネジメント)に応用できそうだと考えました。

私たちは怒っているとき、つい声が大きくなります。

表情も厳しくなります。

これは、“内(こころ)”から“外(体)”への動きですが、そうした態度をとると、それがまたこころに影響して怒りがさらに強まります。

こうして“内(こころ)”と“外(体)”の悪循環が起こると、不必要に怒りの感情が高まってきます。

そうしたときに意識して穏やかに話すことで、不必要に怒りの感情が高まるのを抑えることができそうです。