大リーグで活躍しているイチロー選手が三千本安打を達成しました。
最後は少し足踏みをしていた感がありましたが、思い切って打った打球が外野手の頭を越えて
三塁打になったときには、自分のことのように嬉しい気持ちになりました。
こうした感動を与えられるところにも、スポーツの強みがあるのでしょう。
さて、イチロー選手がヒットをコツコツと積み重ねて三千本になるまでには大変な苦労があったに違いありません。
サングラスの下からそっと涙が流れ落ちるのをテレビで見て、その大変さが伝わってきました。
こうした偉業が達成できた背景に、イチロー選手がバッターボックスに入ったときに毎回決まって行っているルーティンがあります。
ルーティンというのは、先週も紹介した“外(体)”から“内(こころ)”への動きを利用したこころのコントロール法です。
イチロー選手のような大打者でも、いつも同じ精神状態でバッターボックスに入ることはできないでしょう。
そのときの体調や日々の出来事、そして球場の雰囲気やその場の状況など、様々な影響を受けて精神状態は変化するはずです。
前向きになることもあれば、緊張したり不安になったりすることもあるでしょう。
そうしたときに、ルーティンになっている同じ動作を繰り返せば自分を取り戻すことができ、こころが安定してきます。
意識しないどこかで、いままでと同じで良いのだと考えられるようになるからでしょう。
それに、ルーティンのような同じ動作はムダなエネルギーを必要としません。
新しいことを考え出す必要がないからです。
アップルの創始者のスティーブ・ジョブス氏がいつも同じTシャツを着ていたというのはよく知られています。
服を選ぶためにエネルギーを使いたくなかったからだということですが、もしかすると、同じTシャツを着ることがジョブス氏のルーティンになっていたのかもしれないと考えたりもします。
イチロー選手にしてもジョブス氏にしても、一流の人はどこか共通した心構えがあるのだと思いました。