こころトーク

2016.09.02

第49回 「バトンの受け渡しに学ぶこと」

リオデジャネイロオリンピックでは、個人競技はもちろんですが、集団での競技での日本選手団の活躍も目立ちました。

体操やシンクロナイズドスイミング、競泳や400メートルリレーなどで、競泳チームでは荻野選手たちがプールサイドで壁を叩きながら泳いでいる選手を励ましている姿が記憶ににこっています。

なかでも、私にとって印象的だったのは、400メートルリレーのバトンの受け渡しです。

入念な打ち合わせをしている様子がテレビでも報道されたので、ご存じの方も多いと思います。

バトンを上から渡すのか下から渡すのか、どのくらい手を伸ばして渡すのか、といったことに始まり、前の走者がどこまで来たら走り出すのかをテープでマークするなど、万全の準備に驚きました。

こうしたことは、一緒に走るチームの仲間への心配りがあったからこそできたことだろうと思います。

こうした細やかな心配りが必要になるのは、リレーに限ったことではありません。

じつは、400メートルリレーのこうした話を見聞きして、私たちの会話のなかでも同じような心配りが必要なのだと考えました。

いくら親しい人との間でも、リレーでのバトンの受け渡しのように丁寧なやりとりをしなければ、伝えたいことがうまく伝わりません。

伝わらないどころか、場合によっては誤解さえ生まれてきます。

私たちは、人と話をするときにも、自分の思いを込めながら人の話を聴いています。

まさに会話の中に認知が入り込んできているのです。

認知行動療法では、現実を現実のままに見ていないことから悩みが生まれると考えます。

会話でも同じで、相手の言葉のなかに自分の思いが入り込むために、相手の言葉や気持ちを読み違えてしまいます。

ただ、多くの場合はそれでもあまり大きく誤解することはないのですが、ときに思いがけない行き違いを生むことがあります。

地域や職場で適切なチームワークを発揮できるようにするためには、400メートルの選手が、バトンの受け渡しの手順をひとつひとつ確認したように、折に触れて会話の流れをきちんと確認することがとても大事です。