こころトーク

2016.09.16

第51回 「悩み相談で大切なこと」

先週、宮城県女川町の傾聴ボランティアについて書きました。

女川町では、町民の人たちが「聴き上手ボランティア」として活動しており、私は年に何回か、その研修のお手伝いのために女川町を訪問しています。

傾聴ボランティアの役割は、地域の人たちがお互いに交流できるような雰囲気作りが中心ですが、悩みを抱えている人がいれば相談に乗ることもあります。

悩みの相談に乗るというと何か難しいことのように感じられますが、あまり難しく考える必要はありません。

そうしたときに大切なのは、静かに側にいることだと、私は研修で話します。

静かにというのは、あれこれ指図をしたり説得したりするのではなく、相手の人の話にじっと耳を傾けるという意味です。

なぜそうしたことを話すかというと、私たちは人から相談を受けるとつい自分の考えや気持ちを一方的に伝えたくなります。

話を聴かなくてはいけないとぼんやりとわかってはいても、説得口調になって話しすぎてしまうことがよくあるのです。

それも、意識しないうちにそのような態度を取ってしまっているので注意が必要なのです。

そのような態度を取ってしまうのは、私たち誰もが持っている人間関係のクセのためです。

人と人とが交流しているとき、ひとりの人が弱い態度を取ると、相手の人は強い態度を取るようになります。

私が「力の関係」と呼んでいるもので、一方が弱くなると他方は強くなるというように、意識しないうちにお互いに反対の態度を取るようになるのです。

悩んでいるときには、自然に弱い態度を取るようになりますから、悩みを聴いている人は無意識的に強い態度になってしまいます。

アドバイスをしたり説得をしたり、話しすぎてしまうことになるのは、そのためです。

それでは、悩んでいる人はますます話しにくくなりますし、気持ち的にも力をなくしてくることになります。

そうしたときに、黙って話に耳を傾けていると、それだけで悩んでいる人は自分の考えや気持ちを話せるようになってきます。

話している内に、考えや気持ちが整理されてきます。

話すことができれば自信もわいてきます。

話を聴いてもらえる人が側にいるということで安心できるようにもなります。

このように、ただ耳を傾けてそばにいるだけでも、とても大きな力になるのです。

 

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