こころトーク

2016.09.23

第52回 「こころの中の二人の自分」

先週、悩み相談を受けているときには、相談に乗っているつもりでいても、自分の考えを押しつけることになっていることがあるということについてお話ししました。

会話の中に「力の関係」が入ってくると、強い立場の人はますます強くなり、弱い立場の人はますます弱くなる傾向があるからです。

相談を受けている人は、自然と強い立場に立つことになるので、意識しないまま、アドバイスをしたり説得したりするようになってしまいます。

それだと、弱い立場にいる相談者のこころは、ますます弱くなってきてしまいます。

弱い立場の人を助けようとして、逆に心が弱くなるような対応をしてしまっていることになるのです。

もっとも、こうした関係はこころの中でも起こるので注意が必要です。

悩んでいるときには、こころの中で二人の自分が会話をしています。

しかも、一人の自分がもう一人の自分を責めるようになっています。

「こんなことで弱音を吐いてはダメだ」

「他の人だってつらい思いをしているんだ。もっと頑張らなくちゃ」

自分で自分を励まそうとしているのですが、自分の気持ちに寄り添えないで自分を責めるようになってしまっているのです。

そうすると、悩んでいるもう一人の自分はますます弱くなってきます。

「こんなことで弱音を吐いている自分は、やはりダメ人間だ」

「頑張れない自分のことを、情けない人間だと人は考えているだろう」

このように考える自分が出てきて、こころの元気がだんだんと失われてきます。

自分で自分を励まそうと考えていたはずが、自分のこころ力を奪うことになるという、皮肉な結果になってしまうのです。

ですから、悩んでつらくなったときには、ちょっと立ち止まって、自分が自分にどのような声かけをしているか、振り返ってみてください。

そして、もし自分を励ますような声かけをしていることに気づいたときには、まず自分の気持ちを受け入れて、その気持ちに寄り添うように心がけてみるとよいでしょう。