こころトーク

2016.10.21

第56回 「思いを伝えるコツ『ミカンていいな』」

前回の「こころトーク」の最後に、アサーションについて書きました。

今回は、自分の考えや提案を相手に伝えるコツのひとつ、“ミカンていいな”を思い出させる体験について書いてみたいと思います。

“ミカンていいな”というのは、見(ミ)える事実と感(カン)じている気持ちを伝えて、提(てい)案すると相手に受け入れられやすいということを表現したものです。

もしそこで提案が(イナと)否定されたときには、代案を出すようにします。

しばらく前ですが、私の知り合いから社内研修の話を聞いたことがあります。

私は医者だから当然なのですが、会社勤めをした経験がないので、どのようなことをするのか興味があって、少し詳しく聞かせてもらいました。

それは、部下の指導のポイントについての実習でした。

部下が失敗したときの対応法についての課題が出たときです。

私の知人の対応を見ていた講師が「“タスク・オリエンテッド”すぎます」とコメントしたそうです。

その話を聞いて、私は、とても面白い表現だなと思いました。

その人は、頑張って仕事をしている若手です。

仕事で問題が起きると、問題にばかり目がいって、どのように対処すれば良いかを部下と話し合っていたのでしょう。

こうしたときに、仕事だけでなく、相手の人にも目を向けられると、人間関係がずっとスムーズにいくようになります。

ミカンの“ミ”、つまり見える事実や問題だけを取り上げて話すと、事実中心で温かみがなくなってしまいます。

そのとき同時に、ミカンの“カン”、自分が感じている気持ちを同時に伝えると、温かみが出てきます。

もちろん、そのとき、相手が感じている気持ちにも心配りができると、その場の雰囲気が温かくなって、作業が進みやすくなります。

私は愛媛県出身でミカンには思い入れはあるのですが、心理的にもミカンを役に立てられるのだとあらためて思いました。

最後に、研修会の講師が、タスク・オリエンテッドすぎると英語で表現した点にも、講師の心配りが感じられました。

“課題中心過ぎる”と日本語だけで表現すると、批判的な雰囲気が強くなって温かみが薄れるように思えたからです。

 

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