先週、ホームレス精神科医について書きました。
ヨーロッパからの難民として渡米した精神科医で、現在は米国の西海岸でホームレスの生活をしています。
ホームレスといっても、その生活は私などよりよほど文化的で、毎日公立の図書館にこもって好きな本を読みふけったり映画を観たりしていると言っていました。
身なりもきちんとしていて、穏やかな物腰で話す人でした。
日常の生活に縛られて毎日を送っている私たちからすると、羨ましい、自由な生活をしています。
前回も書きましたが、自分にとって大事なことをきちんと理解して、それを最優先する生き方ができているからなのでしょう。
とてもイキイキと、今の生活を楽しんでいることがわかりました。
私たちは、誰でも、目の前に問題があると、その問題にこころを奪われます。
その問題を何とかしなくてはならないと考えると、全体を見て判断することができなくなります。
その結果、問題を前に自分を見失って、右往左往することになります。
たしかに問題があるときには、スピードダウンして問題に対処する必要があります。
私たちのこころや体が不調になるのは、少し立ち止まって問題に対処する必要があるということをこころや体が私たちに教えているのだというのは、このメルマガでも繰り返し書いてきました。
気持ちが落ち込むのは何か大事なものをなくしたかもしれないと考えたときです。
不安になるのは危険が迫っているかもしれないと考えたときです。
こうしたネガティブ感情は、ブレーキの役割を果たします。
眠れなくなったり食欲がなくなったりするのは、寝てるような場合じゃない、食べているような状況ではないという体のメッセージです。
そのようなときには、ちょっと生活にブレーキをかけて何か問題がないか確かめてみる必要があります。
それに対して、ポジティブ感情はアクセルの役割を果たします。
もっと先に進んでいこうとこころが伝えているのです。
そのような状態になるためにも、自分にとって大切なものをきちんと認識しておくことが大事だということを、ホームレス精神科医の生き方から学びました。