こころトーク

2016.11.11

第59回 「脳はバージョン1.0?」

先日、ある本を読んでいたところ、私達の脳はバージョン1.0のままだと書かれていました。

人類が誕生してから数十万年が経っていますが、その間、人類の脳はバージョンアップしていないというのです。

私は脳科学者ではないのでその意味を正確に判断しているかどうかはわからないのですが、経験的には私達人間の判断の仕組みが太古の昔から変わっていないように思えます。

私達は、何か思いがけない出来事に直面すると、まず悪いことを考える傾向があります。

それは、太古の昔、動物に襲われそうになったときに瞬間的に危険を察知して身を守る必要があったからです。

もちろん今でも動物に襲われる危険はありますし、それ以外の危険な出来事に遭遇することもあります。

そのためでしょうか、瞬間的に危険を察知しようとします。

仕事でもプライベートでも、想定外のことが起きると、悪いことが起きているのではないかと考えるのはそのためです。

良くないことが起きたときには、もちろんその出来事に目を向けて解決策を考える必要があります。

しかし、良くないことが起きるのではないかと身構えていると、いつの間にか良くないことばかり探すようになります。

それだけでなく、いくらかでも良くない徴候が見えると、それがとても大きい問題のように思えるようになります。

最近、ある会社員から、仕事がうまくいかなくなるのではないかと心配だという相談を受けました。

最近思うように成果が上がっていないので、このまま成績が下がってしまうのではないかと心配で、夜もゆっくり眠れないというのです。

事情を聴くと、仕事の成績が思わしくないのは事実のようです。

しかし、それはこの1、2カ月の間のことで、それまでは順調に成績が上がっていたといいます。

それに、これからは少しずつですが成績が元に戻っていきそうだということです。

そこまで話をして、その人は、自分が心配しすぎていたことに気づきました。

目の前の仕事がうまくいっていないことで、これからもずっと仕事がうまくいかないだろうと考えるようになっていたようです。

このようなときには、ちょっと立ち止まって何を心配しているかを考え、その考えと現実とを付きあわせると、考えすぎていた部分が見えてくるものです。

 

前の記事 次の記事