12月は、忘年会やクリスマス会など、忙しい日を過ごした人が多かったのではないでしょうか。
街も華やかに彩られ、見ているだけでウキウキしてきそうです。
でも、この時期になると、かえって気分が沈み込んでくる人もいらっしゃいます。
ずっと前ですが、ご自分のことについて、越冬隊という表現をされた方がいました。
街に出ると、みんな楽しそうな表情や態度で通り過ぎていきます。
そうした様子を目にすると、誰とも話ができず一人でいる自分が惨めに思えてくるのです。
ですから、そうした光景を見ないですむように、自分の家に閉じこもって外に出ないようにしていると言います。
その人は、自分のそうした状態を、厳しい南極で冬を過ごしている越冬隊にたとえたのです。
たしかにそれはつらいと思います。
じつは、認知行動療法ではうつ状態を冬眠にたとえることがあります。
『ベックの認知療法』(明石書店)に出てくるのですが、うつ状態というのは、精神的に厳しい現実から自分を守るために自分の世界の中に閉じこもっている状態で、まさに動物が厳しい冬を乗り切るために冬眠しているのと同じだというのです。
「越冬隊」にしても「冬眠」にしても、うつ状態の人のこころの動きをとても的確に表現しています。
でも、そのように閉じこもっていて気持ちが楽なるかというと、必ずしもそうではありません。
一人でいるとあれこれネガティブなことを考えてしまいます。
外で楽しい時間を過ごしている人のことが頭に浮かんで、ますます惨めな気持ちになります。
そうしたときには、一人でも良いので、熱いシャワーを浴びて、ちょっと外に出てみてはどうでしょうか。
シャワーを浴びたり体を動かしたりすれば、それだけで気持ちが楽になることがあります。
ここまで書いてきて、日本には初詣の習わしがあることに思い当たりました。
初詣は、みんなで騒ぐクリスマスパーティや忘年会と違って、一人でできますし、八百万の神様に話しかけることもできます。
一人でもできる風習があるのが、日本の文化の素晴らしさだろうと思います。
■『ベックの認知療法』
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