こころトーク

2017.05.12

第85回 「口癖になっていませんか?」

しばらく前になりますが、私のもとで研究をしていた大学院生と一緒に、悩んでいるときの考えのなかに含まれている特徴的な言葉について調査したことがあります。

その結果、「やっぱり」「また」「いつも」「ずっと」といった言葉が多いことがわかりました。

このことからも、私たちは悩んでいるとき、過去に縛られていることがわかります。

「やっぱり」という言葉を使うのは、過去に考えたとおりのことが起きたと考えているからです。

「また」という言葉も、「いつも」「ずっと」という言葉も、過去と同じことが繰り返されていると考えて使うことです。

過去にきちんと対応しなかったからこのような問題が起きたのだと後悔しているのでしょう。

「あのときにきちんと対応していれば良かったのに、しなかったから“やっぱり”“また”こんなことが起きてしまった」と考えて、落ち込んでいるのです。

そして、「今回もこんなことになってしまったのだから、これから“いつも”“ずっと”同じことが起きるだろう」と考えて、不安になっているのです。

でも、「やっぱり」と言っても、事前にそのような問題が起きると予測していたのでしょうか。

ほとんどは、想定外のことが起きて動揺している場合だと思います。

だからこそ、最初から予見できていたのだと思って自分の動揺を抑えようとしているのです。

そのようなときに、「やっぱり」「また」「いつも」「ずっと」といった言葉を使って、いかにもわかっていたかのように装っても意味はありません。

問題が起きているのは事実ですから、今起きている問題にきちんと向き合わなくてはなりません。

そのうえで、どのような成り行きでこの問題が起きてきて、それにそのように対処すると良いのかを考える必要があります。

実際、冒頭に紹介した調査からは、悩みから抜けた人は、過去から現在に視点を移せていることがわかりました。

悩んでいるとき、緊張したとき、困ったとき…そうしたときには、意識して今に目を向けるようにしてみてください。

 

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