こころトーク

2017.06.02

第88回 「ご当地思考記録表」

私が代表を務めているストレスマネジメントネットワークでは、2、3ヶ月おきに、2日かけて認知行動療法の研修を行っています。

動画やロールプレイを交えて体験的な研修で、すべてを私が担当しています。

研修を開始した当初はどれだけの人が集まるか不安でしたが、実際に研修を始めてみると、精神科医などの専門家はもちろんのこと、自分のために認知行動療法を勉強したいという一般の人まで、いろいろな人が参加して活発に議論がかわされ、私にとっても勉強になっています。

参加される人も、関東圏からだけでなく、北は北海道から南は沖縄まで、全国にわたっていて、それぞれの地域の特性を生かした活動をされているのがわかります。

なかでも、『ご当地思考記録表』の提案には、参加者全員が盛り上がりました。

すでに、ツイッターやフェイスブックで紹介したのでご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、とても印象的だったので、ここでもう一度紹介します。

これは、関西から参加した人が関西弁の思考記録表(「こころが晴れるコラム」)を使っているという話から始まりました。

「こころが晴れるコラム」は、気持ちが動揺したときに浮かんでいる考えを現実に即したものに変えることで問題に対処できるこころの状態を作り出すことを目的にしたもので、「状況」「気分」「自動思考」「根拠」「反証」「適応的思考」「気分の変化」の7つのコラムから構成されています。

これは、気持ちをコントロールするのにはとても効果的なツールなのですが、関西の人からすると「状況」「気分」…という表現がよそよそしく感じられるようです。

そこで、「状況」を「何あったん?」、「気分」を「どんな気分?」、「自動思考」を「どう思ったん?」、「根拠」を「何でそう思ったん?」、「反証」を「ちょっと待ってえよ」、「気分の変化」を「今どない?」と置き換えてみたところ、利用者の関心がぐっと高まったそうです。

その柔軟な発想に感心した他の地域からの参加者が、それぞれの地域の方言を使った『ご当地思考記録表』を作るとよいのではないかと提案し、話が盛り上がりました。

認知行動療法と漢字で書くと堅苦しい感じがしますが、このように柔軟に、しかもできるだけ日常に近い形で考えていくことができると認知行動療法が身近なものになっていくと、あらためて感じました。

 

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