こころトーク

2017.06.09

第89回 「自然な感じで考えを切り替えるために」

認知行動療法を教育現場で活用していきたいと考えている教師を中心に作られている認知行動療法教育研究会という全国レベルの組織があります。

先日、その組織の各地の代表の人たちが集まってこれまでの活動を振り返り、今後の活動について検討する会合がありました。

その中で、前回紹介した「ご当地思考記録表」が話題になりました。

思考記録表は、自分をつらい気持ちになったとき、とっさに頭に浮かんでいる考えに目を向けて、それをより現実的な考え方に変えるために使われるツールで、コラム法と呼んだりもします。

このツールが役に立つのは、生活のなかでいろいろな問題に出会ったときに、その問題を解決することができないのは、「どうせダメだ」などと考えて決めつけていることが多いからです。

私たちは、つらい出来事や厳しい現実に直面すると、その良くない面ばかりにとらわれてしまって、全体に目を向けることができなくなります。

真剣に問題に取り組もうとすればするほど、良くない面に気持ちが集中してしまうという悪循環が起こってくるのでやっかいです。

少しでも気を抜くと、とんでもないことになりそうに思えるからです。

そうしたときに、自分のとっさの考えを書き出して、そのように考えるようになった背景に目を向け、広い視野を持って考え判断できるように手助けするのが「思考記録表」です。

さて、先週招待した「ご当地思考記録表」というのは、「こころが晴れるコラム」の「状況」「気分」「自動思考」「根拠」「反証」「適応的思考」「気分の変化」の7つのコラムの「根拠」を「何でそう思ったん?」、「反証」を「ちょっと待ってえよ」など、関西弁で書き換えると、関西の利用者の関心がぐっと高まったということから提案されたものです。

教育研究会の参加者からは、「状況」「気分」…と言われると堅苦しい感じがして、正解を書かないといけないような気持ちになるが、方言に書き換えると自然な感じで書けるという発言がありました。

たしかに、思考記録表の流れは、自分が心の中で考えを整理したり、友だちと話して考えを切り替えたりする心の流れを見える化したもので、堅苦しい感じがするのは良いことではありません。

その意味では、地方によってだけでなく、年齢によって表現を書き換えても良いでしょうし、それぞれの人が自分らしい言葉に書き換えても良いでしょう。

このように自分に役立つ柔軟性こそが認知行動療法で伝えたいことでもあります。

 

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