こころトーク

2017.08.11

第98回 「自分を知る『生活実験』」

思うように物事が進まなかったとき、私たちはつい冷静さを失ってがむしゃらに問題に取り組みがちになりますが、それでは本来の自分の力を活かすことができません。

そうしたときには、一息ついて、冷静に問題に取り組むこころの状態を取り戻す必要があります。

その一つの手段として、先週紹介した、AO (actual outcome)と呼ばれる「現実に起きた出来事」と、DO (desired outcome)と呼ばれる「自分が期待していた出来事」のギャップを埋める手段を考えて、それを行動に移してみることが役に立ちます。

もちろん、行動に移したからといって、すべてがうまくいくとは限りません。

うまくいくこともあれば、うまくいかないこともあります。

部分的にうまくいくこともあるでしょう。

その意味で、こうした取り組みは「生活実験」と呼ぶことができるでしょう。

実験ですから、成功するかどうかはわかりません。

しかし、行動をすれば、どのような行動がどのように役に立ち、どのような行動が役に立たないかがわかります。

これは、頭の中だけで考えているだけではわかりません。

だからこそ、行動することでデータを集める必要があるのです。

ある行動が役に立つとわかると、またそうした行動をしようという気持ちが出てきます。

報酬系と呼ばれる脳神経のシステムが刺激されるからです。

さて、実験をするときに気をつけたほうが良いことが2つあります。

まずひとつは、結果を急がないことです。

実験の目的は結果ではなく、データ収集です。

まずはデータを集めて、役に立つ行動、役に立たない行動がわかるようになることが大事なのです。

それがわかれば、次に役に立つ行動をすることができるようになってきます。

もうひとつは、行動に集中することです。

私たちは、何かに取り組んだとき、うまくいくかどうかをあれこれ考えていることがよくあります。

気がつかないうちに、行動ではなく考え事をしてしまっているのです。

それでは、うまくいくはずの行動もうまくいかなくなってしまいます。

何かに取り組むときには、最初はうまくいくかどうかにこだわらず、新しい気づきをえることが大事だと考えて、その取り組みに集中するようにしてください。
 

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