こころトーク

2017.10.06

第106回 「アーロン・T・ベック先生が『20世紀に最も影響力のあった医師』第4位に」

フェイスブックやツイッターでご紹介しましたが、Medscapeが発表した「20世紀に最も影響力のあった医師」のなかで、アーロン・T・ベック先生が第4位にランクされたと、
ベック研究所の所長を務めている娘のジュディス・ベック博士から連絡がありました。

Medscapeというのは医学関係の情報サイトなのですが、このランキングでトップに位置づけられたのが、DNAの二重らせん構造を発見してノーベル賞を取ったクリックとワトソンのグループです。

そして、第2位が小児麻痺の原因になるポリオウイルスの予防ワクチンを開発したソーク博士、第3位が、全世界で1000万部を売り上げた育児書で知られるスポック博士で、ベック先生はそれに続く4位に挙げられています。

ちなみに、第5位は、夢分析で知られるユング博士です。

ベック先生が第4位になったのは、もちろん、認知行動療法を開発・提唱し、それが世界的に受け入れられて、うつ病をはじめとする様々な精神疾患の治療や予防に使われるようになったからです。

しかし、『簡易型認知行動療法実践マニュアル』でも書いたように、認知行動療法が精神医療の世界に受け入れられるまでには30年近い年月を要しました。

その間、ベック博士はずいぶん悩んだと言います。

考え方に目を向けて問題解決や気持ちのコントロールを助けるという発想にまともに耳を傾けてくれる人はいなかったようです。

それが悲しくて、まだ小さかった娘のジュディス・ベックに自分の考えを話して聞かせていたそうです。

そうした状況のなか、ベック先生は、ある学会のシンポジウムで話をする機会が与えられました。

その会場に行ってみると会場に入りきれないくらい多くの聴衆が集まっていました。

それを見たベック先生が、みんなは誰の話を聴きに来たんだろうと聞いたところ、他のシンポジストから「あなたの話ですよ」と言われて驚いたと、『アーロン・T・ベック』という伝記に書かれています。

ベック先生のような人でも、良くないことが続くと「誰にも受け入れられない」と悲観的に考えるようになっていて、良い出来事があっても目に入らなくなるようです。

しかし、それでも、自分の仕事の意義を信じてあきらめずに取り組み続けたことで、世界的に評価されることになったのです。

あきらめないで夢を持ち続けることの大切さをあらためて感じる報道でした。

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