こころトーク

2017.11.10

第111回 「痛みとこころの関係」

先日、長野市医師会の市民向けのうつ病講演会に呼んでいただきました。

毎年連続で、5回目の講演会になります。

そろそろ飽きられるころではないかと心配したのですが、800人近い市民の方が私の話に耳を傾けていただきました。

この講演会は、うつ病などストレスがきっかけになって精神的な不調を体験している人は、体の不調も体験していることが多いことから、かかりつけ医と精神科医とが連携をしようという活動のなかで企画されたものです。

ですから、講演会には一般の市民の方々だけでなく、医師会に所属している医師も参加しています。

そのなかの一人の産科医と講演後に話しをしたのですが、その内容がとても興味深かったので今回ご紹介することにします。

それは、痛みとこころの関係についてです。

痛みは、もちろん、体に変調があるときに起きてきます。

しかし、そこで感じる強さには個人差があることがわかっています。

同じ病変だったとしても、ひどく痛いと感じる人もいれば、耐えられないほどの痛みではないと感じる人もいます。

それは、私たちが痛みを感じているときには、身体的な痛み(苦痛)と精神的な痛み(苦悩)の二つを感じているからです。

つまり、同じ身体的な痛みを感じていても、その痛みのためにどの程度悩むかによって感じる痛みが違うのです。

だからといって、こころをしっかり持てば痛みが弱くなるというものでもありません。

場合によっては、きちんと痛みをコントロールできないといって自分を責めることにさえなりかねません。

さて、その産科医は、出産時の痛みを軽くするために工夫をしていると言います。

妊娠期間中、妊娠した女性と、産まれてくる子どもにどのように育ってほしいか、どのような家庭を作りたいか、将来の希望について話し合うというのです。

そうすると、出産するときの痛みが軽くなる可能性があるというのです。

つまり、将来の希望や夢を話し合うことで出産するときの痛みが軽くなる。

出産のときには、妊婦と家族、そして医療者のチームワークがとても大事です。

チームワークの基本は思いやりだと私は思っているのですが、それは相手や仲間の夢や希望をお互いに大切にしあうことなのだとあらためて感じました。

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■大野裕「シマラヤ」アルバム
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書籍の朗読や講演会音声などが聞ける「シマラヤ」で大野先生の講演が試聴可能です。
2018年3月までは無料でお聴きいただけます。

●こころを元気にする10のレッスン
http://m.himalaya.fm/59020/album/101193
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