こころトーク

2017.11.17

第112回 「『つらい』と思ってもあわてないで」

認知行動療法の創始者のアーロン・ベックが創設したベック研究所が、オンラインで認知行動療法を勉強するコースの提供を行っています。

娘のジュディス・ベックが中心になって、アーロン・ベックの協力を得ながら作ったもので、現在は、基礎、うつ病、不安症、パーソナリティ障害の4つの精神疾患に対する認知行動療法の研修コースが提供されています。

内容的にも充実していてわかりやすいのですが、英語で解説されているので、字幕をつけられないか検討しているとことです。

改めてこうしたコースで勉強してみると、いくつになっても新しい発見があって楽しいものです。

たとえばそのなかに、うつ病などの精神疾患から回復した人にどのようなことに気をつけるかについて専門家同士で話し合っている場面があります。

そこでみんなが異口同音に言っていたのが、毎日の生活のなかで体験する落ち込みやつらさと、うつ病などの精神疾患のときに体験する落ち込みやつらさを区別することの大切さです。

これは、精神疾患を体験した人にとってだけでなく、そうでない人にも役に立つ考え方です。

まず、精神疾患を体験した人にどのように役に立つかを書いてみます。

うつ病などの精神疾患を体験した人は、そうでない人には想像もできないようなつらい思いをします。

ですから、もうそのようなことにはなりたくないと考えて、日常生活で体験するちょっとした変化にもあわててしまい、それがストレスになって体調を崩すことが少なくありません。

しかし、日常生活のなかで落ち込んだりストレスを感じたりするのは特別なことではありません。

ですから、少し気分が沈み込んだりストレスを感じたりしたからといって、あわてないようにすることが大切だというのです。

こうした考え方は、精神疾患を体験したことのない人にも役に立ちます。

まず、このように考えられれば、落ち込んだりつらい気持ちになったりしたときに、あまり特別なことだと考えないで、冷静に状況を確認する余裕が生まれます。

そうすれば、そうしたときに自分がどのようにしてそのつらい状況を切り抜けているかに目を向けることができるようになって、自分のストレス対処の方法を確認することができるようにもなります。

そのようにして自分の力を確認することができれば、それがさらに自信につながっていきます。