ストレスを感じて気持ちが動揺したときには、次の3つのステップを踏むと良いと、先月の「こころトーク」で書きました。
【1】気持ちや体の変調に気づく
【2】一息入れて自分を取り戻す
【3】自分の考えを振り返って、自分が望む現実に近づけるように工夫をする
そのあと【1】と【2】について説明し、【3】の自分の考えを振り返るスキルとその意味についても先週説明しましたので、今週は「自分が望む現実に近づくための工夫」を取り上げることにします。
自分が望む現実に近づく、ないしは自分が望む現実を実現するという発想は、慢性のうつ病に対する認知行動療法の考え方を借りてきたものです。
しかし、そうしたうつ状態に苦しんでいる人たちだけでなく、ストレスを感じたときに使える方法でもあるので、ここで紹介することにしました。
そのポイントは、「あきらめないこと」と「期待する現実を認識すること」にあります。
うつ症状に長く苦しむ状態を慢性のうつ病と呼ぶのですが、そうした人たちは何をしても良くならないと考えて絶望的になっています。
絶望的になると、何かをしようという意欲が弱まってきます。
以前にこの「こころトーク」で紹介した“学習性無力感”の状態になるのです。
自分は何をやってもダメだ(無力だ)と考えるようになって、仮に何かをしようとしたとしても「どうせダメだ」と考えているから力が入らず失敗してしまいます。
その結果、あきらめの気持ちが強くなるのですが、そのままでは、いつまでたってもやる気は出てきませんし、自信もつきません。
そうした気持ちを覆すには、行動をして少しずつ自信をつけていくのが良いのですが、そのときに、英語でAOと略される「実際に起きた現実(actual outocome)」とDOと略される「期待する現実(desired outocome)」とを意識するようにします。
ガッカリするような現実(AO)に目を向けながら、こうなってほしいと自分が考える現実(DO)に近づくようにするにはどうすれば良いか、その工夫を具体的に考えていくようにすると、新しい道が見えてくることがよくあります。
「こころのスキルアップ・トレーニング」サイト内『認知行動療法の「スキルを練習する」(7つのスキル)』の「4.状況分析:期待する現実を作り出す練習」のセクションに具体的な方法が載っているので、よろしければ参考にしてみてください。
◎「こころのスキルアップ・トレーニング」
https://www.cbtjp.net/